『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』のED曲は、TV放送版がimase「Fiction」、ABEMA限定先行配信版がimase「NIGHT DANCER」だ。
検索すると2つの曲名が出てきて混乱しやすいけど、どちらも公式EDで間違いじゃない。2026年のTVアニメでは、視聴するバージョンによってエンディングテーマそのものが変えられているんだ。
先に一番大事なところを言っておくと、普通のTV放送版を見て「EDの曲名を知りたい」と思った人の答えは「Fiction」。
一方、「NIGHT DANCER」が流れるのは、2026年6月3日から始まったABEMA限定先行配信版だ。
しかもABEMA限定先行配信版は、TV放送版をそのまま1か月早く公開したものではない。TV放送版の第1話〜第6話を素材に、約10分のショートエピソード全12話へ再編集した特別版になっている。
つまり今回は、
- TV放送版:ED「Fiction」
- ABEMA限定先行配信版:ED「NIGHT DANCER」
というだけではなく、編集のテンポと主題歌をセットで変えた二つの『ヤニすう』が用意されたわけだ。
この記事では、「結局どっちがEDなの?」という疑問を整理したうえで、書き下ろし曲「Fiction」と既存曲「NIGHT DANCER」の違い、なぜ2曲体制が作品にハマるのかまで掘り下げていくよ。
なお、楽曲の歌詞そのものは掲載しない。公表されている作品・楽曲情報を事実として整理し、そこから先の解釈については僕自身の考察だと分かる形で書いていく。
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』のED曲は何?TV版とABEMA版で違う
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』には、TV放送版とABEMA限定先行配信版で別々のエンディングテーマが設定されている。
まず違いを一度、シンプルに整理しておこう。
バージョン EDテーマ アーティスト 楽曲の位置づけ
TV放送版 「Fiction」 imase アニメのための書き下ろし曲
ABEMA限定先行配信版 「NIGHT DANCER」 imase 既存曲を限定版EDとして採用
だから、「『ヤニすう』のEDはFictionと書いてあった」「いや、NIGHT DANCERが流れていた」という両方の情報が存在する。
見ているバージョンが違うだけで、どちらも正しい。
TV放送版は、2026年7月9日からTBS系28局で毎週木曜23時56分の放送枠が案内された。このTV放送版のEDテーマがimase「Fiction」だ。
一方、ABEMA限定先行配信版はそれより約1か月早い2026年6月3日20時30分から配信をスタートした。
ただし、ここで注意したい。
ABEMA限定先行配信版=TV放送版をそのまま早く配信したもの、ではない。
公式発表では、ABEMA限定先行配信版はTV放送版を専用に再編集したバージョンと説明されている。
さらに放送・配信情報では、TV放送版の第1話〜第6話を約10分のショート版へ分割し、全12話として構成したものだと案内されている。
つまり、「ABEMAで全12話が先行公開されたなら、TV版12話分を全部見られるの?」という意味ではないんだ。
TV版前半6話分の内容を、短尺の12エピソードへ組み直した特別編集版と考えると分かりやすい。
そして、違うのは尺だけじゃない。
主題歌もセットで変更されている。
TV放送版は、
- OP:ずっと真夜中でいいのに。「イチジク煙」
- ED:imase「Fiction」
ABEMA限定先行配信版は、
- OP:ずっと真夜中でいいのに。「クズリ念」
- ED:imase「NIGHT DANCER」
という組み合わせだ。
つまり、EDだけを何となく別の曲に差し替えた構成ではない。
同じアーティストを起用しながら、TV版とABEMA版でOP・EDの曲を丸ごと変えている。
これ、アニメ好きとしてはかなり面白い仕掛けだと思う。
一般的な「先行配信」は、完成したTVアニメの同じエピソードを放送より早く見せるイメージが強いよね。
でも『ヤニすう』では、尺を約10分へ再編集し、さらにOPとEDまで別の曲にしている。
だからABEMA限定先行配信版は、単なる“早見せ”というより、同じ物語を別のテンポと音楽で味わわせるもう一つの入口として設計されている、と僕は捉えている。
この違いを理解すると、「Fiction」と「NIGHT DANCER」が両方EDになっている理由もグッと分かりやすくなるよ。
TV放送版ED「Fiction」とは?imaseが『ヤニすう』のために書き下ろし
TV放送版ED「Fiction」は、imaseが『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』のために書き下ろした楽曲だ。
2026年3月28日に発表され、TV放送版のENDING THEMEとして正式に位置づけられている。
楽曲については、シティポップを基調にしたビターでロマンティックなサウンドとして紹介された。
ここで重要なのは、単に人気アーティストの新曲をタイアップしただけではないところだ。
imaseは制作にあたり、もともと原作を読んでいたことを明かしている。
そして、仕事に追われる佐々木と、スーパーで働く山田が、秘密を共有しながら過ごしていく小さな時間に惹かれたという趣旨をコメントしているんだ。
互いのことを深く知らないからこそ本音を話せる。
相手の存在が気になり、次の日が少し楽しみになる。
そんな佐々木と山田/田山の関係を踏まえながら、ポップさの中に大人っぽさを持たせるイメージで制作されたことも説明されている。
ここは「Fiction」を理解するうえでかなり大事だと思う。
なぜなら『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』って、派手な事件で視聴者を引っ張るタイプの物語じゃないから。
主人公の佐々木は、日々仕事に疲れている会社員。
その疲れを少し和らげてくれる存在が、いつも利用しているスーパーの店員・山田さんだ。
佐々木にとって、山田の接客と煙草はささやかな癒やし。
ところがある夜、スーパーへ立ち寄っても山田の姿が見当たらない。
さらに煙草を吸える場所も見つからず困っていたところ、スーパーの裏にいた田山という女性から声をかけられる。
そこから佐々木と田山が、仕事帰りの夜にスーパー裏で煙草を吸いながら話す時間が始まっていく。
ストーリーだけを一行で説明すると、本当にそれくらいなんだ。
世界が滅びるわけでもない。
命懸けの戦いが始まるわけでもない。
突然大事件に巻き込まれるわけでもない。
でも、だから面白い。
昨日まで何でもなかった数分間が、いつの間にか一日の中で楽しみな時間になっている。
『ヤニすう』が描いているのは、そういう小さな変化だと思う。
だからTV版のEDに必要なのも、物語を派手に締めくくる力というより、本編で少しだけ動いた感情をそのまま残しておく力なんじゃないかな。
たとえば佐々木と田山が話す。
田山がちょっと佐々木をからかう。
佐々木は真に受ける。
ふたりの会話が終わる。
そこで「Fiction」が流れる。
視聴者は「あれ、前より距離近くなってない?」「田山、佐々木の反応を明らかに楽しんでるよな」みたいな感情を抱えたままEDへ入っていく。
僕は昔からアニメのEDを、本編で生まれた感情を次回まで保存しておく容器みたいなものだと考えている。
アクション作品なら、熱くなった気持ちをゆっくり落ち着かせる場所になる。
シリアスな作品なら、喪失感や衝撃を整理する時間になる。
一方、『ヤニすう』の場合はちょっと違う。
答えを整理するんじゃなくて、佐々木と田山の名前を付けづらい距離感を、そのまま持ち帰らせる時間になるんだ。
そして「Fiction」のサウンドについて公表されている「ビターでロマンティック」という方向性も、この作品にはよく似合う。
特に僕が好きなのは、「ロマンティック」だけじゃなく「ビター」が入っているところ。
佐々木と田山は、若さの勢いだけで一直線に恋愛へ走っていく二人ではない。
毎日の仕事がある。
客と店員という立場がある。
遠慮もある。
勘違いもある。
そしてお互い、相手との関係にすぐ名前を付けようとはしない。
甘いだけのラブソングでは、ちょっと違う。
だからこそ、ポップでありながら少し苦みを残した大人っぽい方向性が『ヤニすう』の空気と噛み合うんだと思う。
もう一つ、「Fiction」について検索している人が知っておきたい情報がある。
imaseは2025年8月4日からアーティスト活動を休止しているが、「Fiction」は活動休止前に制作された楽曲と案内されている。
2026年放送のアニメで新しい書き下ろし楽曲が発表されたため、「活動休止後に制作した新曲なの?」と疑問に思う人もいるかもしれない。
でも、公式に示されている情報ではそうではない。
制作された時期と、作品の主題歌として発表・放送される時期が異なっているということだ。
ここまで整理すると、「Fiction」は単なるTV版EDという以上に、原作を読んだimaseが佐々木と山田/田山の関係を踏まえて作った“作品専用の余韻”と見ることができる。
個人的には、そこが「NIGHT DANCER」との一番大きな違いだと思っている。
ABEMA限定先行配信版ED「NIGHT DANCER」はなぜ使われている?
ABEMA限定先行配信版のEDテーマは、imase「NIGHT DANCER」。
「Fiction」が『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』のために書き下ろされたのに対して、「NIGHT DANCER」はアニメ以前から発表されているimaseの代表的な既存曲だ。
つまり同じimaseでも、
TV版=作品専用の新曲。
ABEMA限定版=すでに存在していた楽曲。
という明確な違いがある。
「NIGHT DANCER」は、日本国内だけでなく海外でも広く聴かれてきた楽曲として知られている。
imaseの公式プロフィールでは、韓国の音楽配信サービスMelonでJ-POPとして初めてTOP20入りし、SpotifyのバイラルチャートTOP50では48の国と地域にランクインした実績が紹介されている。
さらに第65回「輝く!日本レコード大賞」では優秀作品賞を受賞している。
つまりABEMA限定先行配信版には、まだ誰も聴いたことのない作品専用曲ではなく、すでに多くの人に認知されていたimaseの楽曲をEDとして置いたわけだ。
また、2026年5月22日にはABEMA限定先行配信版のノンクレジットOP・ED映像公開も告知されている。
ここから先は、公式が説明した採用理由ではなく僕自身の考察になる。
僕が「NIGHT DANCER」が『ヤニすう』にハマると感じる大きな理由は、この作品では“夜”そのものが物語を成立させる装置になっているからだ。
佐々木と田山が出会うのは夜。
佐々木が仕事から解放されるのも夜。
ふたりが話す場所は、スーパーの華やかな売り場ではなく、その裏側だ。
昼間の佐々木には「会社員」という顔がある。
山田には「スーパーの店員」という顔がある。
スーパーの店内で会えば、二人は客と店員だ。
そこには社会的な役割がハッキリ存在している。
ところが夜になり、スーパーの裏へ回ると、その輪郭が少し薄くなる。
佐々木と田山。
客と店員とは少し違う。
恋人でもない。
親しい友人と言い切るのもちょっと違う。
まだ説明できる名前を持っていない二人が、同じ場所で時間を過ごす。
つまり『ヤニすう』にとって夜は、一日が終わる時間でありながら、佐々木と田山の物語だけが始まる時間でもあるんだ。
この構造と「NIGHT DANCER」という楽曲の持つ夜のイメージが、すごく自然につながる。
ただし、「タイトルにNIGHTと入っているから採用された」と短絡的に断定するのは違う。
制作側は、2曲を使い分けた具体的な理由をすべて説明しているわけではないからね。
僕が面白いと思うのは、むしろABEMA限定先行配信版の尺との組み合わせだ。
ABEMA限定先行配信版は、TV版第1話〜第6話の内容を約10分のショートエピソード全12話へ組み直したもの。
つまりTV放送版より短い単位で、一つひとつのエピソードを味わう形式になる。
短尺作品では、視聴者に作品の空気をつかんでもらうまでに使える時間も短くなる。
そこで、すでに多くの人が耳にしたことのある「NIGHT DANCER」がEDとして流れる。
それによって初めて『ヤニすう』に触れる人にも、夜のスーパー裏で続いていく、少し大人びた二人の時間へスッと入ってもらいやすくなる。
僕にはそう見えるんだ。
「NIGHT DANCER」は入口として強く、「Fiction」は物語を知ったあとに強くなる。
この違いはかなり重要だと思う。
「NIGHT DANCER」は、『ヤニすう』を見る前から曲に対する記憶を持っている人がいる。
対して「Fiction」は、佐々木と田山の会話を何話も見ながら聴き続けることで、作品の記憶が曲に少しずつ貼り付いていく。
だから僕なりに一言で整理するなら、
ABEMA版の「NIGHT DANCER」は夜の世界へ連れていく曲。
TV版の「Fiction」は二人との時間を積み重ねていく曲。
そんな役割の違いを感じる。
もちろんこれは採用理由として公式発表されたものではなく、公開されている配信形式と楽曲の位置づけを踏まえた僕の解釈だよ。
「Fiction」と「NIGHT DANCER」の違いは?二つのEDが映す山田と田山
「Fiction」と「NIGHT DANCER」の最も明確な違いは、書き下ろしか既存曲かという点だ。
「Fiction」は『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』のために制作された書き下ろし曲。
「NIGHT DANCER」は以前から発表されていたimaseの既存曲で、ABEMA限定先行配信版のEDとして採用された。
でも、アニメを見ている側からすると、もう一つ面白いポイントがある。
どちらも同じimaseが歌っていることだ。
もしABEMA限定版だけアーティストそのものを変更していれば、「特別版だから別の主題歌を起用したんだな」で終わる。
ところが今回はアーティストを共通させ、楽曲だけを変えた。
だから音楽的な統一感を保ちながら、二つのバージョンに異なる表情を与えられる。
そして同じ構造がOPにもある。
TV放送版では、ずっと真夜中でいいのに。「イチジク煙」。
ABEMA限定先行配信版では、同じくずっと真夜中でいいのに。の「クズリ念」。
EDは、TV版がimase「Fiction」、ABEMA限定版がimase「NIGHT DANCER」。
アーティストは同じ。曲は違う。
偶然というより、二つのバージョンを音楽でも区別するための明確な設計として受け取るのが自然だと思う。
そしてアニメを見ていると、僕はどうしても山田/田山というキャラクターそのものを連想する。
アニメでは星希成奏が「山田/田山」を担当している。
スーパーの店内では山田。
スーパーの裏では田山。
もちろん同一人物なんだけど、佐々木から見た印象は大きく違う。
山田さんは、疲れた佐々木を癒やしてくれる理想的なスーパー店員。
一方の田山は、佐々木をからかったり、少し意地悪なやり取りを楽しんだりする。
同じ人物なのに、場所が変わることで見える顔が変わる。
ここへ、
TV放送版とABEMA限定先行配信版。
「Fiction」と「NIGHT DANCER」。
という二つの組み合わせが重なってくる。
もちろん、「山田と田山の二面性を表現するためにEDを2曲にした」と制作側が公式に説明したわけではない。
そこは事実として分けておきたい。
ただ僕には、“同じものでも、見る場所や角度によって別の顔が現れる”という構造が、作品と主題歌の両方に生まれているのがすごく『ヤニすう』らしく感じられる。
スーパーの表と裏。
山田と田山。
TV版とABEMA限定版。
書き下ろし曲と既存曲。
こうやって並べると、単なる主題歌の差し替え以上の面白さが見えてこない?
そして、もう一歩踏み込むなら、EDには「田山の感情を想像する時間」という役割もあると思っている。
物語の入口として分かりやすいのは佐々木だ。
仕事で疲れている。
スーパーへ行く。
山田さんの笑顔に癒やされる。
その山田に会えなかった夜、田山と出会う。
そこからスーパー裏へ通う時間が少しずつ特別になっていく。
佐々木側の変化は比較的追いやすい。
でも作品を見続けていると、今度はこんな疑問が浮かんでくる。
「じゃあ、田山にとって佐々木はどんな存在なんだ?」
佐々木だけがスーパー裏で会う時間を楽しみにしているのか。
田山も同じなのか。
どちらが先に相手を特別だと思い始めたのか。
どこまで本気で、どこまでからかっているのか。
『ヤニすう』は、こういう感情を全部セリフで説明してくれる作品じゃない。
むしろ説明しないから面白い。
もし田山が毎回、「私は佐々木さんとの時間を楽しみにしています」と全部口に出してくれたら、視聴者は迷わなくなる。
でも、その瞬間に『ヤニすう』特有のじれったさもかなり薄れてしまうだろう。
だからこそ映像と音楽が効いてくる。
ちょっとした表情。
声のトーン。
会話の間。
視線。
スーパー裏の環境音。
そして本編が終わってEDへ入るタイミング。
セリフで答えを言わない代わりに、こうした要素が視聴者の想像を広げてくれる。
僕はここが、会話劇をアニメにする面白さだと思っている。
原作のセリフに声と絵を付けるだけなら、アニメ化の意味は半分しかない。
文章では一瞬で通り過ぎる“間”に、何を入れるか。
そこにアニメスタッフの解釈が現れる。
『ヤニすう』は特に、大きな事件ではなく空気の変化で関係性を描く作品だ。
だからOPやEDも飾りではない。
佐々木と田山の距離をどう感じるかに関わる、かなり重要なパーツになっていると僕は思う。
なぜEDを2曲にした?「夜・余韻・二つの顔」から考察
TV放送版とABEMA限定先行配信版でEDを分けた具体的な制作意図について、すべてが公式に説明されているわけではない。
だからここからは、公開されている配信形式と楽曲情報を材料にした僕なりの考察だ。
僕は今回の2曲体制を、「夜」「余韻」「二つの顔」という3つのキーワードで考えると分かりやすいと思っている。
まず「夜」。
「NIGHT DANCER」が使われるABEMA限定先行配信版は、約10分のショート形式だ。
TVアニメ1話分より短い時間の中で、『ヤニすう』がどんな作品なのかを視聴者に感じてもらう必要がある。
そんなとき、夜を想起させる既存曲「NIGHT DANCER」がEDに来る。
仕事を終えた佐々木。
夜のスーパー。
店の裏側。
そこで待っている田山。
この作品を象徴する情景と、曲から受ける夜のイメージがつながりやすい。
短尺版の入口として、かなり強い組み合わせだと僕は感じる。
次が「余韻」。
TV放送版の「Fiction」は、この作品のための書き下ろしだ。
しかもimase本人が、佐々木と山田の関係性や、深く知らないからこそ本音を話せる距離感、また次の日を楽しみにできる感覚を意識して制作したことを説明している。
これが週1回のTVアニメと相性がいい。
第1話で初めて聴いた「Fiction」。
第3話を見たあとに聴く「Fiction」。
第5話、第6話、その先で聴く「Fiction」。
曲自体は同じでも、視聴者側に蓄積されている佐々木と田山の記憶が違う。
「あのとき田山が言ったこと、今考えると意味が違って聞こえるな」
「佐々木、最初より明らかにこの時間を楽しみにしてるよな」
「田山も前より距離の詰め方が変わってきたな」
そんな小さな記憶が、毎週同じ曲に貼り付いていく。
これが連続TVアニメのEDの強さなんだ。
特に『ヤニすう』は、一つの大事件で関係性をひっくり返す作品ではない。
会う。
話す。
からかう。
困る。
笑う。
また会う。
一回一回は小さい。
でも数話を振り返ると、最初の二人とは明らかに違っている。
だから毎週同じ位置で「Fiction」を聴くこと自体が、佐々木と田山の関係を積み重ねていく体験になる。
そして最後が「二つの顔」。
これは山田/田山だけの話じゃない。
今回、アニメ版『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』そのものにも二つの顔ができた。
約10分単位で楽しむABEMA限定先行配信版。
通常尺で物語を積み重ねるTV放送版。
同じ原作。
同じキャラクター。
同じ担当アーティスト。
なのに、編集のテンポと主題歌は違う。
その結果、同じ物語を見ていても視聴後の感触まで少し変わる。
僕はこれを、
ABEMA限定先行配信版=作品の夜へ入っていく入口。
TV放送版=二人との時間を積み上げていく本編体験。
と捉えている。
その見方をすると、「NIGHT DANCER」と「Fiction」の役割分担もきれいに見えてくる。
「NIGHT DANCER」は、夜のスーパー裏という場所のムードへ素早く連れていく。
「Fiction」は、佐々木と田山を知れば知るほど、聴いたときに思い出す出来事が増えていく。
だから、「どちらが本当のEDなのか」「どちらのほうが上なのか」と比べる必要はない。
それぞれ別の『ヤニすう』体験を締めるために存在しているEDなんだと思う。
そして僕が今回、特に面白いと思っているのが「場所」とEDの関係だ。
スーパー裏って、ものすごく絶妙な場所なんだよね。
完全な職場ではない。
完全なプライベート空間でもない。
スーパーという社会的な場所のすぐ隣にあるのに、表からは少し切り離されている。
佐々木と田山の関係も同じ。
もう完全な他人ではない。
でも恋人とは呼べない。
気軽に会話する仲ではあるけど、「ただの知り合い」で片づけるには少し特別になりつつある。
つまり、場所も関係も“あいだ”にある。
そしてEDという映像上の場所も、本編と次回の「あいだ」に存在している。
ここが妙に重なるんだ。
『ヤニすう』におけるEDは、ストーリーを説明する場所じゃない。
むしろ、説明しすぎないために必要な場所なんじゃないかと思う。
スーパー裏でふたりの会話が終わる。
そこで次の情報へ急いで進まず、少しだけ感情を置いておく。
視聴者が「あれってどういう意味だったんだろう」と考えられる時間を作る。
「Fiction」と「NIGHT DANCER」は、それぞれ違った方法でその余白を生み出している。
脚本の視点から見ても、これはかなり『ヤニすう』に合った主題歌の使い方だと思うよ。
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』ED曲をまとめると?
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』のEDは、TV放送版とABEMA限定先行配信版で異なる。
TV放送版のEDテーマは、imaseの書き下ろし曲「Fiction」。
ABEMA限定先行配信版のEDテーマは、imaseの既存曲「NIGHT DANCER」だ。
TV放送版は2026年7月9日からTBS系28局で木曜23時56分の放送枠が案内された。
一方、ABEMA限定先行配信版は2026年6月3日20時30分からスタート。
しかも、TV放送版をそのまま先行公開したものではなく、TV版第1話〜第6話を約10分のショート版へ分割した全12話の特別編集になっている。
主題歌もセットで異なる。
TV放送版はOP「イチジク煙」+ED「Fiction」。
ABEMA限定先行配信版はOP「クズリ念」+ED「NIGHT DANCER」。
だから、「『ヤニすう』のEDを検索したらFictionとNIGHT DANCERの両方が出てきた」という状態は矛盾していない。
視聴しているバージョンが違うんだ。
そして僕は、今回の2曲体制には『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』という作品そのものに通じる面白さを感じている。
スーパーの表と裏。
山田と田山。
TV版とABEMA限定版。
書き下ろし曲と既存曲。
同じ人、同じ作品でも、どこから見るかによって違う表情が現れる。
「NIGHT DANCER」は、仕事が終わった夜に始まるスーパー裏の時間へ、視聴者をスッと連れていく曲として楽しめる。
「Fiction」は、佐々木と田山の関係を知れば知るほど、その週までに積み重ねた記憶と結びついていく。
個人的には、「どっちが好き?」と比べるより、両方を聴いてほしい。
同じ『ヤニすう』なのに、EDが変わるだけで、スーパー裏から持ち帰る余韻まで少し違って感じられるはずだから。
そして、その“少し違う”を楽しむ作品こそ、『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』なんじゃないかな。
よくある質問
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』TVアニメのED曲は?
TV放送版のEDテーマは、imase「Fiction」だ。
「Fiction」は『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』のために書き下ろされた楽曲で、2026年3月28日に発表された。
「NIGHT DANCER」も『ヤニすう』のEDなの?
そう。imase「NIGHT DANCER」はABEMA限定先行配信版のEDテーマとして使用されている。
つまり「Fiction」と「NIGHT DANCER」のどちらも公式EDで、流れるバージョンが異なる。
ABEMA限定先行配信版とTV放送版は何が違う?
ABEMA限定先行配信版は2026年6月3日20時30分から始まり、TV放送版第1話〜第6話を約10分のショートエピソード全12話へ再編集した特別版だ。
主題歌も異なり、ABEMA限定版はOP「クズリ念」/ED「NIGHT DANCER」、TV放送版はOP「イチジク煙」/ED「Fiction」という組み合わせになっている。
神崎 悠真(アニメ批評家|脚本研究家|ファンマーケター)



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