『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』のリオンは、アンジェリカ、オリヴィア、ノエルの3人を妻とし、その後も複数の女性との縁が続いていく。
「リオンは最終的に誰と結婚するの?」
『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』、通称『モブせか』の結末を調べると、「3人」「もっといる」「ミレーヌも結婚する」など複数の答えが出てきて、かなり混乱しやすい。
先に重要な点を言うと、アンジェリカ、オリヴィア、ノエルの3人はリオンの妻として非常に明確。一方、それ以外の女性は「本編中の婚約・側室候補」「将来迎えることを示す展開」「書籍版完結記念SSで後から明言された人物」を分けて考える必要がある。
ここを全部まとめて「リオンの嫁は8人」とだけ説明すると、作品内で描かれた確定度の違いが見えなくなってしまうんだ。
原作小説のGCノベルズ版は全13巻で、第13巻が2024年3月29日に発売され完結。
一方、「小説家になろう」で公開されたWeb版は現在全177エピソードになっている。ただし、第176話がWeb版本編の「エピローグ」で、第177話は書籍版完結後に三嶋与夢さんが追加した「書籍版乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 完結記念SS」だ。
つまり177話すべてを同じ意味の「Web版本編」として扱うと、媒体差を取り違えやすい。
まず全体像を整理すると、こうなる。
キャラクター リオンとの最終的な関係 判断するときのポイント
アンジェリカ 妻として明確 婚約から結婚へ進み、後日談でも妻たちの中心
オリヴィア(リビア) 妻として明確 婚約者から妻へ。Web版エピローグでは子供から「リビアママ」と呼ばれる
ノエル 妻として明確 共和国編を経てリオンと結ばれ、完結記念SSでも妻として扱われる
ミレーヌ 書籍版後日談で「迎えた」と明言 完結記念SSでリオン本人がその後迎えたと認める
クラリス 終盤で婚姻・側室候補へ進む 初期3人とは成立の仕方が異なる
ディアドリー 終盤で婚姻・側室候補へ進む リオンとの約束や戦後の立場が関係する
ヘルトルーデ 終盤で婚姻・側室候補へ進む 恋愛だけでなく政治的意味も強い
ルイーゼ 終盤で婚姻・側室候補へ進む 共和国で築いた縁から関係が深まる
ここで僕が特に強調したいのは、「3人」と「それ以外」を同じ確度で数えないことだ。
アンジェ、リビア、ノエルについては、物語中で婚約から結婚へ至る流れと、後日談で妻として扱われる描写が揃っている。
ミレーヌも書籍版完結記念SSまで読めば、リオン自身の説明によってその後迎えたことが分かる。
一方、クラリス、ディアドリー、ヘルトルーデ、ルイーゼは、終盤でリオンとの婚姻関係を求める方向へ話が進むものの、アンジェたち3人のように物語の長い時間を使って「婚約→結婚→家庭」と同じ形で描写されるわけではない。
だからこの記事では、「妻として本文上はっきり確認しやすい人物」と「側室・婚姻候補として終盤に加わる人物」を分けながら整理していく。
※ここから原作小説最終巻、Web版最終章、書籍版完結記念SSまでの重大なネタバレを含む。
『モブせか』リオンの結婚相手は誰?まず確定している3人を整理
結論から言えば、リオンの妻として最もはっきり確認できるのは、アンジェリカ、オリヴィア、ノエルの3人だ。
この3人については、「好意がある」「結婚するかもしれない」という段階ではない。
物語終盤と後日談まで含め、リオンと人生を共にする女性たちとして描かれている。
さらに書籍版完結後に公開された完結記念SSでは、死後にルクシオンと再会したリオンが、現世に残してきたアンジェたちを待つ話をする。
そこでリオンはリビアが怒ることやノエルが泣くことを気にしており、直後の地の文でも彼女たちが「妻たち」という位置づけで扱われている。
ルクシオンも、リオンが現世で迎えた女性についてまず「三人」を基準に確認している。
このため、「確実な妻を挙げて」と聞かれたときに最初に出すべき名前は、
- アンジェリカ・ラファ・レッドグレイブ
- オリヴィア
- ノエル
の3人になる。
では、なぜネット上では「リオンの妻はもっと多い」という情報が出てくるのか。
理由は、最終盤でクラリスたちとの関係も婚姻方向へ動き、さらに完結記念SSでミレーヌまで迎えたことが明らかになるからだ。
つまり、「最初から最後まで中心にいる3人」と、「終盤から結婚生活に加わっていく女性たち」がいると考えた方が正確なんだ。
この違いを飛ばして人数だけ答えると、『モブせか』の結婚事情は一気に分かりにくくなる。
アンジェリカとオリヴィアはなぜリオンと結婚するのか?
リオンの恋愛関係の原点は、やっぱりアンジェリカとオリヴィアだ。
アンジェリカはレッドグレイブ公爵家の令嬢。
オリヴィア、通称リビアは、リオンが知る乙女ゲームでは本来の主人公にあたる存在だ。
ゲームの基本構造だけ見れば、主人公であるリビアと悪役令嬢ポジションのアンジェは対立するはずだった。
ところが転生者であるマリエが本来のイベントへ割り込み、さらにリオンまで動いたことで、ゲーム通りの人間関係は崩れていく。
結果としてアンジェとリビアは敵になるどころか、互いを大切に思う親しい関係になった。
そして二人ともリオンへ好意を持つ。
ここが『モブせか』の面白いところなんだよね。
ありがちな三角関係なら、「主人公と悪役令嬢のどちらを選ぶか」がクライマックスになりそうな配置だ。
でも本作では、アンジェとリビア自身の絆まで強くなっているため、「片方を選べば片方を切り捨てる」という単純な構造にならない。
むしろ三人の関係そのものが一つの家族へ近づいていく。
ただし、肝心のリオンがなかなか覚悟を決めない。
彼はアンジェにもリビアにも好意を抱いているのに、「自分には釣り合わない」「結婚するには早い」といった理由で答えを先延ばしにする。
ここを単なる「鈍感主人公」で片づけると、リオンという人物を半分しか見ていないと思う。
リオンは他人の感情がまったく理解できないわけじゃない。
自分が誰かからそこまで愛される人間だ、という事実を受け入れるのが苦手なんだ。
前世の知識では、アンジェはゲームの重要人物。
リビアは主人公。
それに対して自分は「名前すらないモブ」のはずだった。
ところが現実では、ルクシオンを手に入れ、決闘で攻略対象たちを倒し、戦争で活躍し、王国の運命まで変えてしまう。
周囲から見れば、とっくに物語の中心人物だ。
それでも本人の自己認識だけは、「俺はモブ」のまま取り残されている。
アンジェとリビアとの結婚問題は、そのズレが最も分かりやすく現れた場面だと思う。
二人から人生を預けるほど愛されている。
でもリオン自身が「自分にはそんな価値がある」と思えていない。
だから決断から逃げる。
これは恋愛の優柔不断さであると同時に、リオンという主人公の根本的な自己評価の低さなんだ。
ルクシオンがアンジェとリビアの婚約を進めた理由とは?
リオンが決めないなら、周囲が決める。
そこで存在感を発揮するのがルクシオンだ。
リオンの両親も、アンジェとリビアを迎えること自体には前向き。
アンジェとリビア本人もリオンを想っている。
なのに本人だけが「まだ早い」と逃げ回っている。
恋愛作品として考えると、かなり変わった状態だ。
ヒロインの好意に気づかないのではない。
家族にも反対されていない。
最大の障害が、リオン自身の自己認識と覚悟なんだ。
そこでルクシオンは、リオンがいつまでも結論を出さないなら、先に周囲を固めてしまう。
人間の恋愛相談として考えれば少々強引だけど、リオンの性格を誰より理解している相棒として見れば実に合理的だ。
しかも、この婚約問題は単なるラブコメでは終わらない。
ホルファート王国の貴族社会では、結婚は個人同士だけの問題ではない。
家格、後継者、領地、政治的な結びつきなど、多くの事情が絡む。
そしてリオン自身も、物語が進むにつれて「貧乏男爵家の三男だから目立たず生きたい」と言っていられない立場になる。
軍事力を持ち、功績を挙げ、爵位を上げ、王国の存亡に関わる。
本人が嫌がっても、周囲は放っておかない。
僕はこの婚約騒動が、『モブせか』全体の縮図になっていると思う。
リオンは力を手に入れれば自由になれると思っていた。
けれど実際は逆だった。
強くなるほど、守る相手と責任が増えていく。
戦争でも政治でも恋愛でも、この法則がずっとリオンを追いかけてくる。
アンジェとリビアとの結婚は、その最初の大きな到達点なんだ。
ノエルはなぜリオンの3人目の妻になった?
3人目の妻として明確なのがノエルだ。
ノエルはアルゼル共和国編で登場し、本作世界の乙女ゲームにおける「2作目」にあたる物語へ深く関係する人物。
レスピナス家や聖樹にまつわる事情を背負い、自分ではどうにもならない大きな問題へ巻き込まれていく。
そこへリオンが現れる。
ノエルとの関係が面白いのは、アンジェやリビアとは出会いの文脈がまったく違うところだ。
アンジェとリビアはホルファート王国の学園生活から続く仲。
ノエルはリオンが国外へ出て、新たな乙女ゲームの物語へ介入したことで生まれた縁になる。
言ってしまえば、リオンの活動範囲が広がったことで恋愛関係まで拡張された形だ。
そしてリオンは、また同じことをする。
苦しんでいる相手を放っておけない。
自分では「ゲームのシナリオを修正するため」「危機を止めるため」と理屈をつける。
でも助けられる側からすれば、自分の人生が壊れそうな瞬間に本気で手を差し伸べてくれた男性だ。
そりゃあ、感情が動く。
脚本の構造として見ると、リオンにはかなり一貫した「好かれ方」がある。
彼は恋愛の場面で甘い言葉を連発するタイプではない。
むしろ普段は口が悪いし、女性相手にも妙に現実的だ。
ところが、相手の人生が決定的に苦しい局面になると、本気で戦って助ける。
これが強い。
日常で100回優しいことを言うより、自分の人生が崩れそうな瞬間に1回命懸けで助けてもらう方が、人の心へ深く残ることはある。
アンジェも、リビアも、ノエルも、リオンのこの性質に救われた人物だ。
だから彼自身に「ヒロインを攻略している」という意識が薄くても、結果的には非常に強烈な攻略行動を重ねている。
そして完結記念SSまで進むと、ノエルはアンジェ、リビアと並び、リオンが死後に再会を待つ妻の一人として扱われる。
ここにはほとんど迷う余地がない。
『モブせか』でリオンの妻をまず3人答えるなら、アンジェリカ、オリヴィア、ノエル。
この3人が恋愛物語の土台だと考えていい。
クラリス・ディアドリー・ヘルトルーデ・ルイーゼも妻になる?
ここが一番、断定に注意したい部分だ。
クラリス、ディアドリー、ヘルトルーデ、ルイーゼも、物語終盤ではリオンとの婚姻・側室入りを意識させる側へ回っていく。
ただし、アンジェ、リビア、ノエルとまったく同じ意味で「本編中に結婚生活まで明確に描かれた4人」と説明するのは雑だ。
彼女たちは終盤、リオンが大きな権力と責任を持つようになるのと並行して、彼との将来を求める立場になっていく。
戦いへ協力する中でリオンとの約束を取り付け、その約束が戦後の婚姻問題につながっていく構造だ。
ここには恋愛だけでなく、家同士の事情や国家間の関係も絡んでいる。
だから4人を単純に「追加ヒロイン」と数えるより、それぞれの立場から見た方が分かりやすい。
クラリスはリオンに救われた過去を持つ
クラリスはアトリー伯爵家の令嬢で、もともとはジルクの婚約者だった。
しかしマリエをめぐる騒動によって婚約関係が崩れ、深く傷つく。
リオンはそんなクラリスの問題へ関わり、彼女が過去と向き合うきっかけを作った人物でもある。
クラリスから見たリオンは、単に「ジルクより条件が良い男」じゃない。
自分が貴族社会の都合と恋愛の失敗で傷ついていた時期に、真正面から問題へ関わってきた相手だ。
リオン本人は人助けの延長くらいに考えていても、助けられた側にとって意味は大きい。
ここでもまた、リオンの「本人だけが恋愛イベントだと思っていない問題」が発生するわけだ。
ディアドリーはリオンの異質さを早くから評価する
ディアドリーもリオンと縁の深い貴族令嬢だ。
リオンは貴族社会の序列に必要以上に媚びない。
相手が上位貴族でも、納得できなければ普通に反発する。
本人としては「面倒に巻き込まれたくない」と考えているのに、行動だけ見ると誰より目立つ。
そういう異質さは、ありきたりな貴族男性を見慣れている人物からすると強烈だ。
リオンは自分をモブだと思っている。
でも周囲から見れば、「地位にも権威にも簡単には屈しないうえに実力まである男」だ。
目立たない方が無理なんだよね。
ディアドリーとの関係は、リオン本人の自己評価と周囲から見える魅力がどれだけズレているかを象徴している。
ヘルトルーデには政治的な意味も大きい
ヘルトルーデはファンオース公国の王族として、リオンとは敵対関係から出会った。
そのため、彼女との関係には他の女性以上に政治的な意味が加わる。
戦争で敵だった国の王族と、やがて王国の中心へ立つリオン。
もし婚姻関係へ接続されるなら、それは個人同士の恋愛だけでなく、戦後の関係修復という象徴性まで持つ。
『モブせか』では何度も、世界規模の問題が最終的にリオンの私生活へ降ってくる。
僕はこれがかなり好きだ。
普通なら「世界を救った英雄には褒美が与えられました」で終わりそうなところを、本作では世界を救ったせいで新しい責任が増える。
リオンにとって偉くなることは、ご褒美というより仕事が増えること。
女性との縁まで、その構造から逃げられない。
ルイーゼは共和国編で生まれた特殊な縁
ルイーゼはアルゼル共和国のラウルト家に属する女性。
彼女とリオンの関係は、最初から単純な恋愛として始まるわけではない。
亡くなった弟への思いや家族の問題など、かなり複雑な感情が入り口になる。
だからノエルのようなメインヒロイン型の恋愛線とは少し違う。
喪失感や家族への思いを通してリオンと接し、共和国での出来事を経て距離が縮まっていく。
この違いは大事だと思う。
最終的にリオンとの将来を望む女性が増えても、全員が同じ理由で彼を好きになっているわけじゃない。
それぞれが違う時期のリオンを知り、違う形で助けられ、違う立場から関係を築いてきた。
だから複数ヒロインものでも、単なる「会った女性が全員なんとなく主人公を好きになった」という印象になりにくいんだ。
そしてここが、前の記事から特に整理しておきたいポイント。
クラリス、ディアドリー、ヘルトルーデ、ルイーゼについては、「アンジェたち3人と同じ密度で正式な結婚生活が描写された」と断言するより、終盤で側室・婚姻関係を求める女性たちとして扱う方が安全で正確だ。
少なくとも完結記念SSでは、ルクシオンが三人以外にも迎える必要がありそうだった女性が複数いたと示唆しているものの、その場で全員の名前と婚姻結果を一人ずつ列挙してはいない。
「最終的に8人」と数字だけを固定するより、この描写差まで含めて説明する方が作品に忠実だと思う。
ミレーヌはリオンと結婚した?完結記念SSで明言される
そして、リオンの結婚相手を語るうえで外せないのがミレーヌだ。
ここはかなり明確。
書籍版完結記念SSまで含めるなら、リオンはミレーヌをその後迎えている。
完結記念SSでは、死後に再会したルクシオンがリオンの結婚生活について確認する。
まずアンジェ、リビア、ノエルを基準に、「現世で迎えたのは三人だけなのか」という趣旨で追及する。
リオンは露骨に動揺。
さらにルクシオンがミレーヌについて尋ねると、リオンはその後すぐ迎えたことを認める。
ここで大切なのは、ミレーヌが単なる「リオンの憧れの女性」で終わらなかったことだ。
ミレーヌはホルファート王国の王妃として登場し、ユリウスの母でもある。
序盤のリオンからすれば、身分も立場も遠すぎる相手だった。
そのため、アンジェやリビアには結婚を迫られると逃げるのに、ミレーヌには割と大胆な態度を取る。
この違い、すごくリオンらしいんだよね。
ここからは僕の解釈だけど、リオンにとってミレーヌは「どうせ現実にはならない憧れ」だったからこそ、安心して好意を表現できたんじゃないかと思う。
アンジェやリビアは違う。
彼女たちは本当にリオンを愛し、現実に結婚を望んでくる。
だから責任が発生する。
だから怖くなって逃げる。
一方で王妃ミレーヌは、当初のリオンからすれば結婚相手として現実味がほぼない。
言ってしまえば安全な憧れだ。
ところが物語は、その安全圏すら壊してしまう。
男爵家の三男だったリオンは、戦争で功績を挙げ、国家の中心人物になり、最後には王へ至る。
かつて「雲の上」にいたミレーヌと、政治的な意味でも同じ高さまで来てしまう。
そして完結記念SSでは、本当に迎える。
これは単なるサービス的なヒロイン追加として見るより、リオンの人生がどれほど遠くまで来たかを示すオチとして見ると面白い。
手の届かない女性だと思っていた人まで、手の届く場所に来るほどリオン自身の立場が変わってしまった。
本人は最後まで「モブ」のつもりなのに、現実だけがどんどん主人公化していく。
ミレーヌとの結末は、その皮肉を最も分かりやすく表していると思う。
Web版と書籍版で妻の人数が違って見えるのはなぜ?
ここは検索ユーザーが一番混乱しやすいところなので、はっきり分けよう。
「小説家になろう」に掲載されている『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』は、現在全177エピソード。
ただし、第176話がWeb版本編のエピローグで、第177話は書籍版完結後に追加された「書籍版完結記念SS」になっている。
このため、
「なろうに書いてあるからWeb版の設定」
と一括りにするのは正確ではない。
第177話は掲載場所こそ「小説家になろう」だけど、タイトルからして書籍版完結を記念した後日談として用意された話だ。
そして作者はこの話の末尾で、書籍版も完結したため以前から書きたかったSSを用意したこと、これをもって作品を完結することを説明している。
つまり整理すると、
- Web版本編の物語
- 書籍版で追加・再構成された物語
- 「小説家になろう」に掲載された書籍版完結記念SS
という3つの層がある。
ここを分けないと、「Web版は3人なのに、同じサイトの177話ではミレーヌもいるじゃないか」という混乱が起きる。
さらにWeb版本編の第176話では、未来の家庭も描かれる。
リビアは子供たちへリオンの活躍を読み聞かせている。
子供からは「リビアママ」と呼ばれ、リオンに似た少年やアンジェを思わせる少女たちも登場する。
ここで重要なのは、リオンが一人のヒロインだけを選んだ未来ではなく、すでに大きな家族を形成していることが視覚的に分かる点だ。
その後、書籍版完結記念SSではリオンが死後にルクシオンと再会し、アンジェ、リビア、ノエルを待つ話をする。
さらにミレーヌまで迎えたと明かされる。
だから検索で見かける、
「リオンの妻は3人」
「いや、それ以上いる」
「ミレーヌも入る」
という情報は、必ずしも全部が完全な誤りではない。
どこまでを「結婚相手」として数えているのかが違う。
僕なら一番誤解の少ない答えを、こうまとめる。
物語上の中心的な妻として明確なのはアンジェリカ、オリヴィア、ノエル。終盤ではクラリス、ディアドリー、ヘルトルーデ、ルイーゼも婚姻・側室を望む側へ進み、書籍版完結記念SSではミレーヌを実際に迎えたことまで明言される。
「8人」という数字を使うなら、この確定度の差をセットで説明した方がいい。
数字だけだと、アンジェとクラリスがまったく同じ過程で妻になったように見えてしまうからね。
なぜ『モブせか』は一人を選ぶ結末にならなかったのか?
ここからは作品構造として考えてみたい。
僕は『モブせか』が複数の女性との結婚へ進んだ理由を、単に「ハーレム作品だから」で終わらせるのはもったいないと思っている。
リオンの物語には、最初から最後まで一つの法則がある。
関わりたくない男が、関わってしまった相手への責任を捨てられない。
これだ。
リオンが望んでいた人生は、本当に小さい。
ゲームの主要人物には近づきたくない。
目立ちたくない。
危険なイベントには関わりたくない。
平穏に暮らしたい。
ところがアンジェが追い詰められると助ける。
リビアが苦しめば守る。
王国が危機になると戦う。
共和国でノエルが追い込まれれば介入する。
戦争が起これば前線へ出る。
敵側の事情を知れば、今度はそこまで背負い始める。
口ではずっと「面倒だ」と言っているのに、目の前で困っている相手を完全には切り捨てられない。
この積み重ねによって、リオンは爵位を上げ、軍事的影響力を増し、政治へ巻き込まれ、最後には王になる。
恋愛も同じ構造なんだ。
アンジェとリビアだけでも覚悟を決められなかった男が、世界中で女性の人生に深く関わる。
当然、縁は増える。
その女性たちには家があり、政治的立場があり、守りたいものがある。
リオンが世界規模で問題を解決するほど、それらの事情が全部リオンへ接続されていく。
普通の英雄物語なら、
「世界を救った。王になった。美女たちにも愛された」
で、成功の象徴として描ける。
でも『モブせか』は少し違う。
リオン本人の感覚では、
「世界を救ったら次の仕事が増えた」
「出世したら責任が増えた」
「女性を助けたら結婚問題が増えた」
なんだ。
だからハーレムすら、完全なご褒美には見えない。
もちろん愛されていること自体は幸福だ。
でも同時に、妻や婚姻相手が増えることは、リオンが背負う人生と責任が増えることでもある。
僕はここが本作ならではのブラックユーモアだと思う。
力を得れば自由になると思っていた男が、力を得るたび自由を失う。
出世すれば楽になるどころか、仕事が増える。
人を救うたび、守るべき相手が増える。
最終的に王になっているのに、本人の精神構造だけは「平凡に暮らしたいモブ」のまま。
このズレがあるから、妻が複数いてもリオンというキャラクターが妙に崩れない。
むしろ「また逃げ道がなくなった」と感じられるんだ。
リオンの結婚エンドは「モブ」という自己認識への最終回答
僕が結婚相手の人数以上に面白いと思っているのが、リオンの自己認識だ。
リオンには前世のゲーム知識がある。
だから最初から、この世界の「重要人物」が誰なのかを知っていた。
主人公はオリヴィア。
アンジェは物語を動かす悪役令嬢ポジション。
ユリウスたちは攻略対象。
続編に進めばノエルたちが物語の中心にいる。
そして自分は、ゲームでは名前もないモブ。
この前提がリオンの頭へ強烈に刻み込まれている。
ところが実際の人生ではどうか。
ルクシオンを発見する。
攻略対象たちとの決闘に勝つ。
王国の戦争へ参加する。
共和国の危機へ介入する。
複数の国家の運命を左右する。
旧人類と新人類をめぐる巨大な争いへ入り込む。
国王にまでなる。
もはや「誰が主人公なんだよ」と言いたくなるほど、世界の中心だ。
それでもリオン本人は最後まで、自分を過大評価しない。
むしろ過小評価し続ける。
アンジェと釣り合わない。
自分は英雄ではない。
自分より適任者がいる。
自分はモブだ。
これは謙虚というより、自己認識の更新が現実に追いついていない状態だと思う。
だから結婚問題も、このテーマと完全につながる。
誰かの人生を預けられるほど自分が重要な人間になったことを、リオンはなかなか受け入れられない。
アンジェとリビアとの婚約は、リオンへ「お前はもう傍観者じゃない」と突きつける出来事だった。
ノエルとの関係は、「舞台が変わってもお前は中心人物になる」と示す。
クラリスたちとの婚姻問題は、「助けた人々との縁から逃げ続けることはできない」と示す。
そしてミレーヌは、「かつて自分には絶対届かないと思っていた相手すら現実の人生へ入ってくるほど、お前自身が変わった」と示す。
この順番で考えると、複数婚という結末が単なるヒロイン回収以上の意味を持って見えてくる。
リオンは最後まで「モブでいたい」と願ったけれど、人を助け続けた結果、誰よりも物語の中心人物になった。
妻や家族が増えていくのは、その事実を生活レベルで突きつける最終回答なんだ。
まとめ|リオンの妻は3人が中心、ミレーヌも後日談で迎えている
『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』で、リオンの妻として最も明確なのはアンジェリカ、オリヴィア、ノエルの3人だ。
アンジェとリビアは学園時代からリオンと関係を築き、リオン本人が決断を渋る中でも婚約へ進む。
ノエルはアルゼル共和国編でリオンに救われ、最終的に同じく妻として扱われる。
Web版本編のエピローグでは、リビアが子供たちへリオンの活躍を読み聞かせる未来が描かれ、リオンが大きな家庭を築いていることも分かる。
一方、クラリス、ディアドリー、ヘルトルーデ、ルイーゼは終盤でリオンとの婚姻・側室関係を望む側へ進んでいく。
ただし、アンジェたち3人と同じ密度で結婚生活まで描写されるわけではないので、「8人全員がまったく同じ確度で妻」と一括りにするより、成立過程を分けて見る方が正確だ。
そしてミレーヌは別。
書籍版完結後に公開された「書籍版乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 完結記念SS」で、リオン本人がその後ミレーヌを迎えたことを明かしている。
だから「リオンは結局誰と結婚したの?」への答えを一文にするなら、こうなる。
中心となる妻はアンジェリカ、オリヴィア、ノエルの3人。終盤ではクラリス、ディアドリー、ヘルトルーデ、ルイーゼとの婚姻関係も進み、書籍版後日談ではミレーヌを迎えたことまで明言されている。
そして僕は、この結婚エンドそのものが『モブせか』らしいと思う。
平凡に暮らしたかった。
物語の中心になりたくなかった。
面倒事には関わりたくなかった。
なのに困っている人間を放っておけない。
その結果、英雄になり、王になり、大勢から人生を預けられる男になる。
リオンは「モブ」という肩書を失ったというより、最初から自分だけが、自分の主人公性に気づいていなかったのかもしれない。
妻が増えていく結末は、そのズレを最後まで笑いに変えながら、「君はもう誰かの人生にとってモブじゃない」と突きつける展開でもある。
個人的には、そこまで含めて『モブせか』らしい少し皮肉で、でも温かいハッピーエンドだと感じている。
よくある質問
リオンの妻は結局何人?
最も明確な中心人物はアンジェリカ、オリヴィア、ノエルの3人。
それ以外にクラリス、ディアドリー、ヘルトルーデ、ルイーゼが終盤で婚姻・側室候補として関わり、書籍版完結記念SSではミレーヌを迎えたことも明言される。
そのため「3人」と「8人」のどちらか一方だけを答えるより、3人が中核で、その後さらに結婚関係が広がったと理解するのが最も混乱しにくい。
ミレーヌは本当にリオンの妻になる?
書籍版完結記念SSでは、ルクシオンからミレーヌについて問われたリオンが、その後すぐ迎えたことを認めている。
そのため、少なくとも書籍版の後日談まで含めれば、ミレーヌは「憧れの王妃のまま終わった人物」ではない。
マリエはリオンと結婚する?
しない。
マリエはリオンの前世における妹であり、転生後も互いの正体を知ってからは、強烈に言い争いながらも支え合う兄妹として描かれる。
アンジェ、リビア、ノエルら恋愛・婚約相手とは明確に別の立場だ。
執筆:神崎悠真|アニメ批評家・脚本研究家・ファンマーケター



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