映画『鬼の花嫁』の主題歌は、King & Princeの「Waltz for Lily」。運命の恋を、和の気配とワルツの三拍子で描いた映画書き下ろしのラブソングだ。
2026年3月27日に全国公開された実写映画『鬼の花嫁』。永瀬廉演じる鬼龍院玲夜と、吉川愛演じる東雲柚子の物語を締めくくる主題歌として選ばれたのが、King & Prince「Waltz for Lily」だ。
しかも、主演の永瀬廉が所属するグループだから起用された、というだけのタイアップではない。2026年1月23日の主題歌発表時には、作品のビジュアルや世界観を踏まえ、美しく大人びた華やかさと儚さ、和のテイストとのつながり、そしてワルツの三拍子まで意識して制作したことが明かされている。
さらに公開後の4月7日に行われた「鬼ヒット御礼舞台挨拶」では、永瀬が髙橋海人とともに映画に合う音楽のテイストや歌詞、曲の構成まで考えたことを説明した。
つまり「Waltz for Lily」は、映画の横に添えられた宣伝曲というより、玲夜と柚子の物語の余韻まで設計するための主題歌として見ると、その面白さが一気に分かりやすくなる。
映画『鬼の花嫁』主題歌はKing & Prince「Waltz for Lily」
映画『鬼の花嫁』の主題歌アーティストは、永瀬廉と髙橋海人によるKing & Prince。主題歌「Waltz for Lily」は2026年3月25日にCDシングルとして発売され、映画はその2日後となる3月27日に全国公開された。
主題歌決定が発表されたのは2026年1月23日。本予告やメインポスターの解禁とともに、「Waltz for Lily」が映画のために制作された楽曲であることも伝えられた。
まず、映画と主題歌の基本情報を整理しておこう。
- 主題歌:King & Prince「Waltz for Lily」
- 主題歌発表:2026年1月23日
- CDシングル発売日:2026年3月25日
- 映画公開日:2026年3月27日
- W主演:永瀬廉、吉川愛
- 監督:池田千尋
- 脚本:濱田真和
- 音楽:小山絵里奈
- イメージソング:由薫「Ray」
- 原作:クレハ『鬼の花嫁』
- コミカライズ:富樫じゅん
- 配給:松竹
映画『鬼の花嫁』は、あやかしと人間が共存する世界を舞台にした和風恋愛ファンタジーだ。
物語の中心となるのは、あやかしの頂点に立つ鬼の一族の次期当主・鬼龍院玲夜と、家族から十分な愛情を受けられずに育った東雲柚子。玲夜を永瀬廉、柚子を吉川愛が演じている。
原作はクレハによる小説で、2020年から刊行。2021年からは電子雑誌「noicomi」で富樫じゅん作画によるコミカライズも始まり、映画の主題歌情報が発表された2026年1月時点ではシリーズ累計発行部数650万部突破と案内されていた。
それだけ多くの読者がすでに玲夜と柚子を知っている作品を実写化する以上、映像だけでなく「映画の最後にどんな音を残すか」も重要になる。
そこで主題歌を担当するのが、玲夜役の永瀬廉自身が所属するKing & Princeというわけだ。
僕がまず面白いと感じたのはここ。
本編で玲夜として聞いていた永瀬廉の声が、エンドロールではKing & Princeの歌声として残る。
俳優と登場人物を同一視するという話ではない。映画の音響的な体験として、「主人公を演じていた人の声」が本編終了後も別の形で続くことに意味があるんだ。
『鬼の花嫁』における主題歌起用は、この“声の連続性”まで含めて考えるとかなり興味深い。
「Waltz for Lily」はどんな曲?三拍子と和の世界観がポイント
「Waltz for Lily」は、『鬼の花嫁』が描く運命の恋と大切な人への思いを軸にした、美しくロマンチックなラブソングだ。
2026年1月23日の主題歌発表時、永瀬廉は『鬼の花嫁』が持つ和のテイストとのつながりを意識しながら、それだけに寄りすぎない洗練されたアレンジへの手応えを語っている。
さらに歌声が重なることで生まれる儚さと、タイトルにも表れているワルツの三拍子も注目点として挙げた。
一方の髙橋海人は、作品のビジュアルや世界観を共有してもらいながら、華やかさと儚さを目指して制作したことを説明している。
ここで大切なのは、「和風作品だから和っぽい曲にした」という単純な設計ではないことだと思う。
『鬼の花嫁』の舞台は、完全な異世界ではない。
現代を生きる人間の日常と、鬼や妖狐などの「あやかし」が同じ世界の中に存在する。
だから音楽も、昔話のような和風音楽だけに振り切ってしまえば、柚子が生きている現代的な日常との距離ができる。
反対に普通の現代ポップスへ寄せすぎれば、今度は鬼龍院家をはじめとする幻想的な世界の空気が薄くなる。
「Waltz for Lily」が面白いのは、現代的なラブソングと幻想的な和の世界、その境界に立とうとしていることだ。
この中間的な立ち位置は、『鬼の花嫁』そのものとよく似ている。
なぜワルツの三拍子が玲夜と柚子に似合うのか
ここからは公式情報ではなく、脚本や演出を見るのが好きな僕なりの解釈になる。
「Waltz for Lily」というタイトルで、ワルツを選んだこと自体がかなり面白い。
ワルツは基本的に三拍子で進み、二人が互いの動きを感じながら踊るダンスでもある。
片方だけが好きな方向へ歩けば成立しない。相手の位置やリズムを意識しながら、少しずつ同じ動きを作っていく。
これを玲夜と柚子の関係に重ねると、主題歌のタイトルが違って見えてくる。
物語の入り口では、玲夜には「柚子が自分の花嫁である」という強い確信がある。
でも柚子は同じスタート地点には立っていない。
それまで家族との関係で傷ついてきた柚子にとって、玲夜から向けられる強くまっすぐな愛情は、自分が慣れ親しんできた人間関係とはまるで違うものだからだ。
玲夜にとっては「運命」でも、柚子にとってはその運命を自分自身の感情として受け止めていく時間が必要になる。
ここが重要なんだよね。
『鬼の花嫁』は、運命の相手を見つけて終わる話ではない。
運命として始まった関係を、二人自身の関係へ変えていく物語として見ることができる。
そう考えると僕には、「Waltz for Lily」のワルツが、最初から完全に同じ歩幅ではなかった玲夜と柚子が、少しずつ互いのリズムを見つけていく姿にも思えてくる。
もちろん、公式が「三拍子は二人の関係を表している」と説明したわけではない。
でも映画を見たあとにタイトルへ戻ると、ワルツという言葉が単なる音楽ジャンル以上の意味を帯びて聞こえる。
こういう鑑賞前と鑑賞後で印象が変わる主題歌は、映画との結びつきが強い証拠だと思う。
永瀬廉と髙橋海人は主題歌をどう作った?発言から分かる制作意図
「Waltz for Lily」を理解するうえで外せないのが、永瀬廉と髙橋海人自身が映画との接続をかなり意識していたことだ。
まず2026年1月23日の主題歌発表時点で、二人は映画の世界観を踏まえて制作したことを説明している。
永瀬は和のテイストとのリンクを意識しつつ、そこだけに偏らないアレンジへのこだわりを紹介。髙橋も作品のビジュアルや世界観を受け取りながら、華やかさと儚さを目指したことを明かした。
そして髙橋が公開前に意識していたのが、映画を見たあとに「Waltz for Lily」がどう聞こえるのかという点だった。
この視点は映画主題歌を考えるうえでかなり大事だと思う。
主題歌には作品を知ってもらう「入口」としての役割がある。
人気アーティストの新曲をきっかけに映画を知る人もいるし、予告編で流れた曲に惹かれて作品へ興味を持つ人もいる。
でも映画主題歌にはもう一つ、本編を見終えた観客の感情を受け止める「出口」としての役割もある。
今回、それがよりはっきりしたのが2026年4月7日だ。
東京都内で開催された映画『鬼の花嫁』の「鬼ヒット御礼舞台挨拶」には、永瀬廉、吉川愛、池田千尋監督が登壇した。
会場にはSNSで行われた感想投稿キャンペーンに寄せられた観客コメントを掲載したバックパネルが用意され、登壇者が気になる感想を選ぶ場面があった。
そこで永瀬が選んだのが、映画終了後にエンドロールとともに流れる「Waltz for Lily」で涙し、曲まで作品のように感じた、という趣旨の感想だった。
永瀬はその反応を受け、映画に合うよう和の要素を取り入れたり、歌詞の内容を考えたり、曲の構成まで髙橋と一緒に作ったことを説明している。
ここで、公開前と公開後の情報が一本につながる。
1月23日の段階では「作品の世界観へ寄り添って制作した」という作り手側の意図が語られた。
そして4月7日には、その曲を映画のエンドロールで受け取った観客から「曲まで作品のようだった」という反応が届いた。
制作側が狙った方向と、少なくとも一部の観客が受け取った感覚が重なったわけだ。
映画音楽として、これはかなり興味深い結果だと思う。
「Waltz for Lily」初週31.3万枚は何の数字?
「Waltz for Lily」は、リリース後のセールスでも大きな数字を記録した。
2026年3月31日に発表された4月6日付オリコン週間シングルランキングで、「Waltz for Lily」は初週31.3万枚を売り上げ、初登場1位を獲得している。
集計期間は2026年3月23日から29日。
さらにKing & Princeは、デビューシングル「シンデレラガール」から18作連続で初週売上30万枚超えを達成した。
オリコンでは、デビューシングルからの連続初週30万枚超え作品数として史上初の記録とされ、自身が持っていた歴代1位記録を更新した形になる。
この実績は4月7日の「鬼ヒット御礼舞台挨拶」でも紹介され、永瀬は映画と主題歌の双方が多くの人に受け止められたことへの感謝を示した。
ここは数字の扱いを少し慎重に見ておきたい。
31.3万枚売れたから映画との相乗効果が証明された、とは言えない。
King & Prince自体が大きな支持基盤を持つグループだからだ。CDセールスにはファンの購買行動や商品形態など、映画以外のさまざまな要素が関係する。
ただし、今回の映画と音楽が互いを行き来しやすい設計だったことは確かだ。
映画公開は3月27日、CD発売は3月25日。
しかも映画主演の永瀬廉が主題歌を歌うKing & Princeのメンバーでもある。
King & Princeから「Waltz for Lily」を知り、『鬼の花嫁』へ興味を持つ人がいる。
反対に原作や映画から入った人が、エンドロールをきっかけに「Waltz for Lily」を改めて聴くこともある。
ファンマーケティングの視点で見るなら、ここで重要なのは単純な販売枚数より、一つの作品体験から別の接点へ自然に移動できることだと僕は思う。
映画館を出たあとでも曲は聴ける。
その曲を聴けば、玲夜と柚子の場面を思い出す。
そして映像を思い出せば、もう一度映画の世界へ触れたくなる。
作品が上映時間だけで完結せず、音楽を通じて日常の中へ持ち帰られるわけだ。
「Waltz for Lily」と由薫「Ray」の違いは?主題歌とイメージソングを整理
映画『鬼の花嫁』の音楽を調べると、King & Princeの「Waltz for Lily」と一緒に由薫「Ray」という曲も出てくる。
ここは混同しやすいので明確にしておこう。
主題歌はKing & Prince「Waltz for Lily」、由薫「Ray」はイメージソングだ。
「Ray」の起用も「Waltz for Lily」の主題歌決定と同じ2026年1月23日に発表されている。
由薫の公式情報では、「Ray」は映画『鬼の花嫁』のために書き下ろしたイメージソングで、2026年3月20日にデジタルリリースされた。
さらに3月3日に公開された情報では、由薫自身が映画を見て、玲夜と柚子の揺れる思いへ心を寄せながら制作したことを説明している。
「Ray」という言葉には、暗闇へ差し込む一筋の光というイメージが込められた。
誰かを好きになることで相手だけでなく、自分自身の輪郭まで見えてくる。そんな恋による心の揺れを描いた楽曲として制作されている。
ここが面白い。
「Waltz for Lily」と「Ray」は役割こそ違うけれど、どちらも単に「恋って素敵だよね」という方向だけではなく、相手と出会うことで自分自身が変わっていく感覚へ踏み込んでいる。
これは柚子の物語を考えるとかなり重要だ。
玲夜との出会いは、柚子にとって恋愛相手ができるだけの出来事ではない。
それまで家族との関係の中で形成されてきた「自分はどういう存在なのか」という認識そのものが、玲夜との出会いによって揺さぶられていく。
だから『鬼の花嫁』の音楽には、恋愛の高揚感だけでなく、儚さや揺れが必要になる。
僕は「Waltz for Lily」と「Ray」を並べてみることで、映画が音楽に求めていた感情の輪郭がむしろ分かりやすくなると思う。
運命的に誰かと出会うことは、自分自身を見つけ直すことでもある。
そんな方向から二つの曲を聴くと、『鬼の花嫁』の恋愛ドラマが単なる「鬼に溺愛される物語」より一段深く見えてくる。
映画『鬼の花嫁』主題歌を聴いた感想|儚さが柚子の心情に合う
ここからは公式に発表された事実とは分けて、僕自身が「Waltz for Lily」を映画『鬼の花嫁』に重ねて聴いた感想を話したい。
まず僕がいいと思ったのは、「運命の恋」を強さだけで表現していないことだ。
『鬼の花嫁』には、言葉だけ拾えばかなり強い設定が並ぶ。
あやかしの頂点に立つ鬼。
ただ一人の花嫁。
運命によって導かれる男女。
一度見つけた花嫁へ向けられる強い愛。
この設定なら、もっと壮大で重厚なバラードにして「これぞ宿命」という方向へ押し切ることもできたはずだ。
でも「Waltz for Lily」は、公開時のコメントでも繰り返し示されていたように、華やかさと同時に儚さを大切にしている。
僕はこの儚さが、玲夜よりむしろ柚子の感情に効いていると感じた。
玲夜にとって柚子との出会いは強い確信を伴う。
しかし柚子にとって玲夜との出会いは、自分がそれまで信じてきた人間関係や自己評価を根底から揺らす出来事でもある。
突然「大切な存在」として扱われたからといって、人間の心はスイッチのように切り替わらない。
「自分は本当に愛されていいのか」。
「この人を信じてもいいのか」。
「これまで自分が受けてきた扱いは何だったのか」。
愛情を受け取ることによって、むしろ過去の傷が浮かび上がることもある。
だから柚子の物語には、幸福だけでは足りない。
戸惑い、不安、切なさ、そしてそれでも誰かを信じてみたいという感情が必要になる。
「Waltz for Lily」の儚さは、この心の揺れを受け止められる。
個人的には、圧倒的な運命を高らかに宣言する曲ではなく、運命を少しずつ自分のものとして受け入れていく曲のように感じた。
そして三拍子も効いている。
多くのポップスで親しんでいる四拍子とは少し違うリズムへ身体を誘われることで、現実から半歩だけ幻想側へ移動したような感覚が生まれる。
これは『鬼の花嫁』の世界そのものに近い。
完全な異世界へ飛ばされるわけではない。
人間が暮らしている日常のすぐ隣に、あやかしの世界が重なっている。
僕たちの現実から百歩離れたファンタジーではなく、ほんの一歩だけ境界を越えれば幻想へ触れられそうな世界なんだ。
和のエッセンスを持ちながら現代的でもあり、聴き慣れたラブソングの親しみやすさを残しながら三拍子で少し違う場所へ連れていく。
「Waltz for Lily」の音楽的な距離感は、この作品の世界設定とよく似ていると思う。
考察|エンドロールで「Waltz for Lily」が映画の一部になる理由
ここまでの公式情報と公開後の反応を踏まえると、僕が「Waltz for Lily」で最も注目したいのは、エンドロールを含めて映画の感情を完成させるよう作られていることだ。
脚本研究の視点から見ると、物語は最後の事件が解決した瞬間だけで終わるわけじゃない。
重要なのは、クライマックスで大きく動いた感情をどこへ着地させるか。
脚本では、事件の解決後に登場人物の変化を見せたり、新しい日常を提示したりする短い場面が置かれることがある。
いわゆるエピローグ的な役割だ。
映画の場合、エンドロールの音楽も似た機能を持てる。
映像上の物語は終わっている。
でも観客の感情はまだ終わっていない。
むしろ照明がつくまでの数分間は、クライマックスまで追いかけてきた登場人物の気持ちを、自分の中で整理する時間になる。
そこで本編とまったく接点のない曲が流れれば、映画から現実へ急速に意識が戻ることもある。
一方、本編で描かれた感情を引き継ぐ曲なら、物語は映像が終わったあとも観客の中で続いていく。
「Waltz for Lily」は後者を狙った曲なんじゃないか、と僕は考えている。
その根拠になるのが、公開前と公開後の発言のつながりだ。
1月23日の発表時点で、King & Princeは映画の世界観やビジュアルを受けながら楽曲を作ったと説明していた。
4月7日の舞台挨拶では永瀬自身が、和の要素、歌詞、曲の構成まで髙橋と一緒に映画へ合わせて考えたことを明かした。
そして同じ舞台挨拶で紹介された観客の感想には、エンドロールで主題歌を聴き、曲まで映画の一部のように感じたという反応があった。
つまり、制作意図→映画本編→観客の受け取り方という一本の線が確認できる。
ここが今回の主題歌で一番面白いポイントだと思う。
さらに『鬼の花嫁』には、もう一つ特殊な条件がある。
主題歌を歌っている永瀬廉が、直前まで主人公・鬼龍院玲夜を演じていることだ。
映画本編では「玲夜の台詞」として聞いていた声が、エンドロールでは「King & Princeの歌」へ切り替わる。
もちろんキャラクターとアーティスト本人は別の存在だ。
それでも観客の聴覚体験としては、声の質感が連続することで、本編と主題歌の境界が通常より柔らかくなりやすい。
僕はここを“声によるエピローグ”と捉えると面白いと思っている。
台詞で説明するエピローグではない。
玲夜が最後に長々と心情を語るわけでもない。
でも観客が玲夜と柚子の物語を見届けた直後、その主人公を演じた永瀬の歌声が髙橋の声と重なって流れる。
映画の中の「玲夜」から現実の「King & Prince」へ戻りながら、それでも感情だけは作品世界に少し残してくれる。
これは主演俳優と主題歌アーティストが重なる作品だからこそ成立しやすい効果だ。
ファンマーケティングの観点でも、この構造は強い。
作品への接触が「映画館で映画を見て終了」にならないからだ。
日常生活で「Waltz for Lily」を再生すれば、映画館で見た玲夜や柚子の表情、物語の終盤、エンドロールの感覚を思い出す可能性がある。
音楽は約2時間の映画を丸ごと再生しなくても触れられる。
通勤中でも、家でも、スマートフォンでもいい。
つまり主題歌は、映画の感情を持ち運べる小さな入口になる。
初週31.3万枚という数字はKing & Princeの支持の大きさを示す重要な実績だけれど、僕が『鬼の花嫁』との関係でより注目したいのは、この鑑賞後にも作品との接点が残り続ける設計なんだ。
そして「Lily」という言葉については、意味を断定しないでおきたい。
公式に示されていない象徴性まで「これは柚子を意味する」と決めつけてしまえば、それは考察ではなく事実との混同になる。
ただ、「鬼の花嫁」という力強い日本語タイトルに対して、「Waltz for Lily」という響きには柔らかさや優雅さがある。
強い鬼と、揺れる人間の心。
決められたように見える運命と、その運命を受け止めていく個人の感情。
『鬼の花嫁』には、最初からこうした二面性がある。
だから僕は「Lily」の答えを一つに固定するより、映画を見終えたあとに「誰のためのワルツだったんだろう」と考えられる余白そのものを楽しみたい。
それくらいの距離感が、この主題歌にはちょうどいいと思う。
まとめ|映画『鬼の花嫁』主題歌は物語の余韻を持ち帰る一曲
映画『鬼の花嫁』の主題歌は、King & Prince「Waltz for Lily」だ。
主題歌決定は2026年1月23日に発表され、CDシングルは3月25日に発売。永瀬廉と吉川愛がW主演する映画は3月27日に全国公開された。
楽曲では『鬼の花嫁』の和の世界観とのつながりを持たせながら、美しく大人びた華やかさと儚さを意識し、ワルツの三拍子を取り入れている。
さらに公開後の4月7日の「鬼ヒット御礼舞台挨拶」で永瀬は、映画に合うよう和の要素や歌詞、曲の構成まで髙橋海人と一緒に考えたことを説明した。
セールス面では、3月31日発表の4月6日付オリコン週間シングルランキングで初週31.3万枚、初登場1位を記録。デビューシングルから18作連続初週30万枚超えという記録にも到達している。
ただ、映画好きとして僕が一番注目したいのは、数字よりも「映画を見たあとにどう聞こえるか」まで考えられた主題歌であることだ。
玲夜と柚子は、単に運命で結ばれたから幸せになる二人ではない。
最初は違う場所に立っていた二人が、相手と向き合い、自分自身とも向き合いながら関係を作っていく。
だからこそ僕には、三拍子のワルツが二人の関係によく似合って聞こえる。
そして映画が終われば、玲夜を演じた永瀬廉の声は、King & Princeの歌声へ変わる。
「Waltz for Lily」は映画の最後に流れる曲であると同時に、玲夜と柚子の物語を観客の日常へ持ち帰るための曲でもある。
主題歌だけを先に聴いた人は、映画を見たあとにもう一度聴いてみてほしい。
同じ三拍子でも、最初とは少し違うワルツに聞こえるかもしれない。
よくある質問
映画『鬼の花嫁』の主題歌アーティストは誰?
映画『鬼の花嫁』の主題歌アーティストはKing & Princeで、楽曲タイトルは「Waltz for Lily」だ。
主演の鬼龍院玲夜を演じる永瀬廉がKing & Princeのメンバーであるため、映画本編と主題歌の両方に参加している。
「Waltz for Lily」はいつ発売された?
King & Prince「Waltz for Lily」のCDシングルは2026年3月25日に発売された。映画『鬼の花嫁』は2日後の3月27日に全国公開されている。
3月31日発表の4月6日付オリコン週間シングルランキングでは、集計期間3月23日〜29日で初週31.3万枚を記録し、初登場1位となった。
由薫「Ray」も映画『鬼の花嫁』の主題歌?
違う。映画『鬼の花嫁』の主題歌はKing & Prince「Waltz for Lily」で、由薫「Ray」はイメージソングだ。
「Ray」も映画のために書き下ろされた楽曲で、2026年3月20日にデジタルリリースされた。主題歌とイメージソングでは位置づけが異なるため、映画の楽曲を調べる際は分けて覚えておくと分かりやすい。
神崎悠真
アニメ批評家|脚本研究家|ファンマーケター



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