『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』漫画10巻のあらすじと注目ポイントを解説

王国都市上空に迫る巨大飛行船群と機械鎧を背景に政治的分裂と対公国戦の緊張が高まる場面 SF・ファンタジー・アクション
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『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』漫画10巻では、リオンの一時軟禁から王国軍の敗北、そしてマリエとの重大な関係判明まで一気に物語が動く。

ファンオース公国との戦争だけでなく、フランプトン侯爵の暗躍、偽りの聖女問題、崩れていく王国の統率まで絡むため、シリーズの国家戦争編が本格的に加速する巻と考えると分かりやすい。

『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』漫画10巻では何が起きる?

漫画『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』10巻を大きな流れで整理すると、「リオン封じ→王国軍出撃→作戦崩壊→マリエ失脚→前世の兄妹判明」という順番で危機が拡大していく。

まず押さえておきたいポイントは、この4つだ。

  • フランプトン侯爵がファンオース公国と密約し、リオン排除へ動く
  • 国王派はリオンを守る目的で、一時的に彼の自由を制限する
  • リオン不在のまま王国軍が公国軍と戦い、戦況が急速に悪化する
  • 聖女として担ぎ上げられたマリエの立場が崩れ、リオンとの前世の関係まで明らかになる

KADOKAWA公式の商品紹介でも、10巻は「王国内部が内乱寸前まで分裂した状態で対公国戦が勃発する巻」と位置づけられている。

さらに、フランプトン侯爵が公国と密約して暗躍し、ヘルトルーデは侯爵そのものを守るのではなく、彼の行動をリオンの力を削ぐ手段として利用しようとしていることが明記されている。

一方、王国側もリオンを自由にさせているわけではない。

国王派は彼の安全確保を優先し、リオンを一時軟禁する。

つまり10巻では、敵側だけがリオンを排除しようとしているのではなく、味方側の安全策まで結果的にリオンを動けなくする方向へ働くんだ。

ここだけ聞くと「またリオンが政治に巻き込まれる話かな」と思うかもしれない。

でも、10巻はそこから先がかなり重い。

リオンが閉じ込められている間にもファンオース公国との戦況は進み、王国は「最強クラスの戦力を持ちながら、それを有効に使えない」という最悪の状態に陥っていく。

そして後半では、戦争そのものと同じくらい重大な出来事として、マリエの秘密が一気に噴き出す。

10巻は政治劇、戦争、転生者同士の関係という、それまで別々に進んでいた線が一本につながる巻なんだ。

なお書誌情報は、作画が潮里潤、原作が三嶋与夢、キャラクター原案が孟達。

紙版は2023年4月7日発売、ドラゴンコミックスエイジ刊、B6判162ページ、ISBNは「9784040749341」、KADOKAWA掲載の定価は924円(税込)となっている。

価格や在庫は販売時期・販売先によって変わる可能性があるので、購入時点の情報は公式販売ページなどで確認してほしい。


漫画10巻のあらすじを時系列で整理|リオン軟禁から王国軍敗北まで

ここからはネタバレ込みで、漫画10巻の出来事をできるだけ時系列に沿って整理していこう。

10巻の面白さは「リオンが軟禁されます」で終わる話ではない。

むしろ、リオンを盤面から外した瞬間に王国の問題が次々と噴き出すところにある。

フランプトン侯爵はリオンを危険視していた

前巻から続く政治的な火種の中心にいるのが、フランプトン侯爵だ。

リオンはこれまで、規格外の飛行船や機械鎧アロガンツ、そしてルクシオンの力を背景に、通常の貴族では到底成し遂げられない戦果を上げてきた。

ファンオース公国との戦いでも圧倒的な戦力差を覆した実績があり、敵側から見れば放置できない存在になっている。

同時に、王国内の一部貴族から見ても問題だった。

一人の若い貴族が国家軍事力の常識を超える武力を個人で保有している。

しかも政治家として扱いやすいタイプでもない。

リオン本人は権力を欲しがっていなくても、「本人が権力を望まないこと」と「周囲が彼を危険視しないこと」は別問題なんだ。

前巻終盤からフランプトン侯爵側は、リオンの所有する戦力を問題視し、彼を政治的に追い込む方向へ進んでいた。

そして10巻では、公国との密約を背景に、その動きがより露骨になる。

ただし、ヘルトルーデ側がフランプトン侯爵を対等な同志として大切に扱っているわけではない。

KADOKAWA公式の説明でも、ヘルトルーデは侯爵を守るつもりがなく、彼の動きを「リオンの力を削ぐ手段」と見ていることが示されている。

ここはかなり重要だ。

フランプトン侯爵にとっては自分の権力争いでも、公国側から見れば、王国を内側から混乱させるための駒の一つにすぎない。

同じ陣営に見える人物たちにも、それぞれ別の損得勘定がある。

『モブせか』の政治劇が単純な善悪二元論にならない理由が、ここによく出ている。

リオンは国王派によって一時軟禁される

フランプトン侯爵派の動きが危険な領域へ入る中、リオンは拘束される。

ただし、ここで状況をややこしくしているのが「国王派までリオンを閉じ込める」という点だ。

国王派の目的は、リオンを処罰することではない。

KADOKAWA公式が明示している通り、安全確保のための一時軟禁だ。

つまり王国側は、敵対派閥からリオンを守るため、いったん彼の自由を制限する。

詳細な展開では、ミレーヌ側の介入によってリオンはより安全な状態へ置かれ、彼に接触しようとする人間たちの動きも浮かび上がっていく。

リオンの持つ力を欲しがる貴族たちが近づき、政治的な思惑が次々と表面化していくんだ。

ここで面白いのは、リオン自身の戦闘能力がまったく落ちていないこと。

ルクシオンもいる。

アロガンツもある。

本人も強い。

なのに自由には動けない。

敵の巨大兵器よりも先に立ちはだかるのが、王国という組織そのものの都合なんだ。

僕はこの展開を、10巻の脚本上の大きな強みだと感じている。

強い主人公を止めるために「さらに戦闘力が高い敵」を出すのではなく、立場と制度で動きを制限する。

パワーバランスを壊さずに緊張感を作れているんだよね。

アンジェリカたちもリオン救出へ動く

当然、リオンの拘束を知ったアンジェリカも黙ってはいない。

彼女はリオンを解放させるために動き、周囲へ助力を求める。

しかし国王派側にも事情があるため、単純に「かわいそうだから釈放しよう」とはいかない。

ここでマリエや、ユリウスたち五人もリオンを救おうと動き始める。

この辺りは深刻な政治状況の中でも『モブせか』らしいコメディが挟まる場面だ。

大真面目に救出しようとしているのに、人選と行動があまりにも彼ららしいため、緊迫感の中に妙な笑いが生まれる。

でも、彼らの行動がまったく無意味というわけでもない。

リオンを狙う側の動きと救出を企む側の動きが重なったことで、牢の周囲でも事件が発生する。

つまり一時軟禁は「安全地帯に置けば終わり」ではなかった。

リオンという存在が重要すぎるせいで、閉じ込めてもなお周囲が動き続けるんだ。

※画像はAIによるイメージ

リオンが動けない間にファンオース公国との戦争が進む

そして10巻の状況を決定的に悪化させるのが、ファンオース公国との戦いだ。

王国が内部抗争で揺れているからといって、公国側が待ってくれるわけじゃない。

むしろ内部分裂している瞬間こそ、攻める側にとっては絶好の機会になる。

迎撃へ向かった王国軍は、公国側の強大な戦力と対峙する。

ここで王国は、聖女として祭り上げられていたマリエの存在を重要な要素として扱っていた。

ところが、その前提自体が危うかった。

なぜならマリエは、本来この世界で聖女になるべき存在ではないからだ。

本来ゲームの主人公であるオリヴィアが担うはずだった役割を、転生者であるマリエが先回りして奪ってしまった。

物語序盤では、それがマリエにとって「攻略対象たちを手に入れる近道」に見えていた。

でも国家間戦争まで状況が拡大すると、そのツケが一気に返ってくる。

肩書だけ聖女になっても、本来の主人公とまったく同じ能力や精神性を持てるわけじゃない。

ここは10巻の重要な因果関係だと思う。

マリエが「本物の聖女ではない」と明かし、王国軍の作戦が崩れる

公国側の圧倒的な脅威を前にしたマリエは追い詰められる。

そこで彼女は、自分が本物の聖女ではないことを周囲に明かしてしまう。

原作Web版にも、公国の巨大な脅威を前にしたマリエが恐怖し、自分は本物の聖女ではないと告げる流れが描かれている。

これは単なる個人の告白では済まない。

王国側は「聖女がいる」という前提で戦争へ臨んでいる。

その中心人物本人が「自分は違う」と認めれば、作戦だけでなく兵士たちの信頼や士気まで揺らぐ。

その結果、迎撃側は大打撃を受け、王都にも敗報が届く。

詳細な10巻の展開では、迎撃艦隊の敗北によって王都が混乱し、貴族たちの動揺も一気に拡大していく。

ここでようやく、国王派がリオンを安全な場所へ置いたことの皮肉が最大化する。

リオンを守ろうとした判断自体には筋が通っていた。

でも、その間に王国軍が危機へ追い込まれる。

最も守るべき戦力を守った結果、最も必要な局面で使えない。

誰か一人が馬鹿だったから失敗した、という構図ではない。

それぞれが合理的だと思う判断を積み重ねた結果、国家全体では最悪に近い展開へ進んでしまった。

ここが10巻の政治劇として面白いところだ。


王国軍敗北後はどうなる?マリエの聖女問題と兄妹判明が大きく動く

対公国戦で王国側が苦境へ陥ると、当然「誰が責任を取るのか」という話になる。

そして矢面に立たされるのがマリエだ。

彼女はこれまで聖女という肩書を利用し、ユリウスたち攻略対象を自分の周囲へ集めてきた。

しかし、国家が本当に聖女の力を必要とする段階へ入った瞬間、その虚構が持たなくなる。

これはマリエというキャラクターにとって非常に大きな転換点だ。

「偽りの聖女」の責任がマリエへ返ってくる

マリエはゲーム知識を利用して、本来オリヴィアが手にするはずだった立場へ先回りした人物だ。

序盤だけを見れば、彼女はリオンとよく似ている。

二人とも前世の知識を持っている。

二人ともゲーム世界の未来を知っている。

二人とも、本来のシナリオへ介入した。

でも大きく違うのは、知識の使い方だった。

リオンは基本的に、自分が危険や面倒事から逃れるために知識を使いながら、結局は他人を助ける方向へ巻き込まれていく。

一方のマリエは、当初はゲーム知識を使って「主人公の立場」を横取りしようとした。

そして10巻では、その違いが結果として現れる。

地位だけを先に手にしてしまったことで、いざ聖女としての責任を要求されたときに耐えられない。

これは僕には、単なる「マリエが悪かった」という話以上に見える。

ゲームのイベントだけ知っていても、その役割を背負う人物の中身まではコピーできない。

ここがすごく大事だと思う。

攻略情報を知っていることと、その物語の主人公になれることは別なんだ。

リオンは処罰されそうになるマリエを見捨てない

王国軍の敗北と聖女問題によって、マリエの立場は急速に悪化する。

普通に考えれば、リオンにとってマリエは散々問題を起こしてきた相手だ。

ユリウスたちを巻き込み、本来のゲームシナリオを壊し、聖女の座まで奪った。

「自業自得」と切り捨てても不思議ではない。

ところがリオンは、完全には見捨てない。

詳細な展開では、敗戦責任を追及されるマリエに対し、リオンが必要性を主張して彼女を確保する方向へ動く。

ここにはリオンのキャラクターがよく出ている。

口は悪い。

態度も悪い。

マリエへの評価も決して甘くない。

でも、目の前で人間が破滅へ追い込まれる状況を何もせず眺めていられるほど冷酷でもない。

リオンは「善人です」と胸を張るタイプじゃないのに、結果として人を助けてしまう。

僕はこのズレこそ彼の魅力だと思っている。

そしてリオンとマリエの前世がつながる

さらに10巻後半で、シリーズ屈指の重要情報が明らかになる。

マリエが前世で語る「兄」と、リオンの前世の記憶が一致していく。

二人の会話を通じて、リオンとマリエが前世でも兄妹だったことが判明するんだ。

これは後続11巻のKADOKAWA公式紹介でも明確に確認できる。

11巻の公式あらすじでは、マリエについて「転生前のリオンの妹だったと発覚した」と説明されており、10巻で判明した事実を受けて物語が続く。

ここまでのマリエを見ると、この事実はかなり強烈だ。

リオンが前世で妹に乙女ゲームを押し付けられ、無理をして攻略したこと。

マリエもまた、そのゲームに関する情報を持って転生していたこと。

二人が今世で互いに罵り合い、何度も面倒事を持ち込んできたこと。

全部が一本につながる。

しかも感動一色にならないのが『モブせか』らしい。

「生き別れた兄妹が感涙の再会」という綺麗な構図ではなく、これまで散々相手へ悪態をついてきた二人が、とんでもないタイミングで互いの正体へたどり着く。

重い秘密なのに、キャラクター同士の距離感は妙に俗っぽい。

そのバランスがすごくいいんだ。

※画像はAIによるイメージ

そして物語構造としても、この兄妹判明は単なるサプライズではない。

リオンにとってマリエは、それまで「同じゲーム世界に転生してきた厄介な別の転生者」だった。

しかし正体が分かった瞬間、切り捨てられない個人的な関係へ変わる。

国家戦争が激化しているタイミングで、主人公の家族関係まで再構築される。

10巻が情報量の多い巻だと感じる理由はここにある。


なぜ漫画10巻の王国は崩れかけた?9巻までの流れから見る原因

10巻だけを見ると、「公国という敵が迫っているのに、どうして王国はここまでまとまらないの?」と思うかもしれない。

でも、この混乱は突然起きたわけじゃない。

それまでリオンやマリエがゲーム本来の流れを変えてきた結果が、政治と戦争の場で一気に表面化している。

9巻では、リオンとマリエがエルフの里にある遺跡地下へ落ち、異形の生物や生物実験施設へ遭遇する展開が描かれていた。

ドラゴンエイジ公式でも、9巻について、地下で異形の生物に襲われ、その先で生物実験研究室とエルフたちに遭遇する内容が紹介されている。

一見すると、9巻は遺跡探索。

10巻は国家戦争。

話が急に変わったようにも見える。

ただ、その裏では王都の政治バランスも動き続けていた。

リオンはこれまでの功績によって爵位も影響力も増し、もはや誰も無視できない存在になっている。

そしてレッドグレイブ家をはじめとする既存の勢力関係も変化している。

ここで重要なのは、リオンが王国へ忠誠を誓った典型的な軍人ではないことだ。

本人が欲しいのは平穏な暮らし。

国家の英雄になりたいわけじゃない。

政治の中心にも入りたくない。

でも実際には、王国を救える戦力を持ってしまっている。

政治家側からすれば、こんなに扱いに困る人物はいない。

敵が来れば頼りたい。

でも力を持ちすぎれば警戒したい。

戦場には出したい。

でも失えば国家的損失になる。

リオンの行動を制御したい。

でも強引に押さえつければ反発される。

10巻の一時軟禁は、この矛盾が限界まで膨らんだ結果と読める。

さらにマリエ問題も同じだ。

本来ならオリヴィアが聖女となり、物語上の重要な役割を果たすはずだった。

ところがマリエがゲーム知識で立場を奪ったことで、「聖女はいるのに、本来期待される機能を果たせない」というねじれが生まれている。

つまり10巻の王国は、

軍事の切り札であるリオンを使えず、宗教・精神的な切り札として期待したマリエも機能せず、さらに内部ではフランプトン侯爵派が暗躍している。

かなり危険な状態なんだ。

ここまで条件が重なれば、外敵の軍事力だけを比較しても意味がない。

戦争が始まる前から、王国は組織として大きなハンデを背負っている。

僕は10巻を「公国が強かったから王国が苦戦した巻」とだけ見るのは、少しもったいないと思う。

本質は、それまで積み重ねてきた政治的な歪みとシナリオ改変のツケが、戦争という非常事態で一気に噴き出したことにある。


漫画10巻の注目ポイントを考察|「最強主人公」を戦闘力以外で追い込む構造

ここからは事実関係と分けて、僕なりに10巻をどう評価しているかを話したい。

一番うまいと思ったのは、やっぱりリオンの扱い方だ。

リオンはかなり強い。

普通に敵をぶつけ続けるだけなら、「どうせアロガンツとルクシオンで何とかするんでしょ?」という読み方になりやすい。

強主人公ものが抱えやすい問題だよね。

そこで漫画10巻は、リオンより強い剣士を突然出すような方法ではなく、リオンが戦える場所へ行けない状況を作る。

これは脚本でいうなら、能力そのものへの障害ではなく「行動条件への障害」に近い。

どれほど強い駒でも、盤面に出せなければ意味がない。

しかもリオンを盤面から外そうとする理由が一つではない。

公国側はリオンの力を削ぎたい。

フランプトン侯爵側にも排除したい事情がある。

国王派は逆に守ろうとする。

動機はそれぞれ違うのに、結果としてリオンの自由が制限される。

ここが巧妙なんだ。

単純な悪役一人の策略なら、その悪役を倒せば終わる。

でも組織の論理や味方の善意まで障害になっているなら、敵を倒しても問題は解消しない。

リオンの「強さ」が政治問題へ変わった

シリーズ序盤では、リオンの強さはほぼ純粋な武器だった。

嫌な相手を倒せる。

理不尽な状況を覆せる。

大軍にも対抗できる。

ところが10巻では、その強さそのものが政治的リスクになる。

「リオンが危険人物だから」という意味だけではない。

重要すぎるから自由に使えないんだ。

高価な切り札ほど、壊れる可能性のある場所へ気軽には投入できない。

国家から見ればリオンは、だんだん「自由な一貴族」ではなく「国家戦力」に近い存在になってしまう。

本人はそんな役割を望んでいない。

ここに『モブせか』らしい皮肉がある。

モブとして平穏に暮らすために強くなった。

ところが強くなった結果、誰からもモブとして扱ってもらえなくなった。

成り上がれば自由になるどころか、責任と注目が増えて自由が減る。

僕はこれを、10巻の一番面白い逆転だと思っている。

マリエの失敗は「ゲーム知識の限界」を示している

もう一つ面白いのが、マリエだ。

転生作品では、「未来を知っている人物」は非常に強い。

イベントの発生時期も知っている。

重要人物も知っている。

便利なアイテムも知っている。

だから普通の登場人物より先回りできる。

でもマリエの10巻での失敗を見ると、知識には限界があることが分かる。

彼女は「聖女になる方法」を知っていても、聖女として国家の命運を背負う経験までは持っていなかった。

これは攻略サイトを読んだ人と、実際にその世界で生きる人の違いに近い。

イベントを奪うことはできても、イベントの意味まで奪えるわけではない。

そしてこの問題はリオンにも他人事じゃない。

リオンもゲーム知識によって未来を変えてきた。

しかし彼が介入すればするほど、本来のゲームとは違う世界になる。

フランプトン侯爵の動き。

マリエが聖女になったこと。

リオン自身が国家級戦力になったこと。

全部、ゲームの予定表から世界を遠ざけていく要素だ。

だから10巻以降では、「ゲームを知っているから勝てる」という単純な優位性が薄れていく。

攻略する側だったリオン自身が、世界最大のイレギュラーになっている。

この視点で読むと、10巻の国家危機はシリーズ全体の成長でもある。

ゲームのイベント処理だった物語が、自分たちの行動で生まれた未来を自分たちで引き受ける物語へ変わっていくんだ。


漫画10巻と原作小説10巻は別内容|検索するときは混同に注意

『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 10巻』と検索すると、少し厄介な問題がある。

漫画10巻と原作ライトノベル10巻は、同じ「10巻」でも内容がまったく違う。

今回扱っている漫画版10巻は、潮里潤作画のコミカライズ。

2023年4月7日にKADOKAWAのドラゴンコミックスエイジから発売され、公国と密約するフランプトン侯爵、リオンの一時軟禁、ファンオース公国との戦い、マリエを巡る問題などが描かれる。

対して原作ライトノベル10巻は、三嶋与夢による小説で、GCノベルズから2022年5月30日に発売された。

こちらの中心はアンジェリカとリオンの関係だ。

GCノベルズ公式によると、実家との板挟みになったアンジェリカが「自分はリオンの重荷になっているのではないか」と考え、リオンもまた自分がアンジェリカを縛っているのではないかと悩む。

その空気の中でリオンが宝探しの冒険を計画し、マリエや王子たちまで加わっていく内容になっている。

書誌情報も違う。

漫画10巻のISBNは「9784040749341」。

原作小説10巻は「9784867162996」だ。

つまり検索するときは、

  • リオン軟禁・フランプトン侯爵・公国戦・マリエの聖女問題を調べたい → 漫画10巻
  • アンジェリカとの婚約問題・宝探しを調べたい → 原作小説10巻

と分ければ迷いにくい。

特に電子書籍ストアでは表紙を見ずに「10巻」だけ追うと混同しやすい。

「作画・潮里潤」「ドラゴンコミックスエイジ」と表示されている方が、この記事で扱っている漫画10巻だ。

そして漫画10巻の続きとなる11巻では、KADOKAWA公式が「ミレーヌや国王派の根回しでリオンが艦隊の総指揮を任される」と紹介している。

同時に、10巻で判明した「マリエが転生前のリオンの妹だった」という事実を受けて、その後の問題がさらに動き出す。

つまり10巻の巻末は、対公国戦を解決してすっきり終わる地点ではない。

王国が大きく傷つき、リオンが本格的に国家の戦争へ投入される直前まで状況を悪化させる巻なんだ。

この「11巻でリオンが総司令官になる」という公式情報まで見れば、10巻の軟禁がどれだけ皮肉な前振りだったかも分かる。

安全のために閉じ込められた男が、次には艦隊全体を背負わされる。

本人が望む平穏なモブ生活から、ものすごい勢いで遠ざかっているよね。


まとめ|漫画10巻は軟禁・敗戦・兄妹判明が連続する大転換巻

『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』漫画10巻は、単に「ファンオース公国との戦争が始まる巻」ではない。

公国と密約するフランプトン侯爵が内部から王国を揺さぶり、ヘルトルーデ側はその動きをリオンの戦力を削ぐ材料として利用する。

一方の国王派はリオンを守るために一時軟禁するが、その間にも公国との戦況は悪化していく。

そして実際のストーリーでは、聖女として扱われてきたマリエの問題が戦争の中で噴出する。

王国軍が苦境へ陥り、マリエの「聖女」という立場も崩れ、最終的にはリオンとマリエが前世でも兄妹だったという重大な事実へたどり着く。

この巻を一本の因果関係として見るなら、

リオンを封じる政治→切り札不在で進む戦争→偽りの聖女という歪みの崩壊→転生者二人の正体判明

という流れになっている。

僕が特に評価したいのは、強すぎるリオンを無理やり弱体化させなかったことだ。

リオンの能力はそのままなのに、政治的立場、味方の安全策、国内対立によって自由を奪う。

さらに、ゲーム知識だけではどうにもならない国家規模の危機へスケールを上げる。

だから10巻では、これまで「世界を攻略する側」にいたリオンが、少しずつ「自分が変えてしまった世界の結果を引き受ける側」へ移っていく。

ここがシリーズの大きな転換点だと僕は考えている。

モブとして自由に暮らしたかった青年は、強くなりすぎた。

重要になりすぎた。

そしてついには、本人がどう思っているかに関係なく、国家の命運を背負う存在になっていく。

漫画10巻は、その変化が政治と戦争の両面からはっきり見える一冊だ。


よくある質問

『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』漫画10巻の発売日は?

漫画10巻は2023年4月7日発売。

作画は潮里潤、原作は三嶋与夢、キャラクター原案は孟達で、ドラゴンコミックスエイジから刊行されている。紙版はB6判162ページ、ISBNは「9784040749341」だ。

漫画10巻でリオンはなぜ軟禁される?

KADOKAWA公式では、国王派がリオンの安全を確保するため一時軟禁すると説明されている。

処罰だけを目的とした拘束ではなく、フランプトン侯爵派などの動きから重要戦力であるリオンを守る意味を持つ。ただし結果的には、対公国戦が悪化する中でリオンをすぐ動かせない状況につながっていく。

漫画10巻でリオンとマリエが兄妹だと判明する?

うん。10巻後半のやり取りによって、二人が前世でも兄妹だったことが明らかになる。

この事実は続く漫画11巻のKADOKAWA公式あらすじでも、「転生前のリオンの妹だったと発覚したマリエ」と明記されているため、10巻から11巻へ続く重要な設定として確認できる。

神崎悠真(かんざきゆうま)|アニメ批評家・脚本研究家・ファンマーケター

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