「もし、昨日までただの中年サラリーマンだった自分が、目を覚ましたら“猫”になっていたら──あなたは、誰に最初に会いに行きますか?」
話題沸騰中のアニメ『猫に転生したおじさん』は、その一見コミカルなタイトルとは裏腹に、“人生のやり直し”と“本音で生きることの難しさ”を鋭く描き出す、かなり骨太な作品です。
僕はアニメ批評家として20年以上、1,000本を超える作品を追いかけてきましたが、ここまで「おじさん」と「猫」が共鳴し合う物語は、なかなかお目にかかれません。
中でも視聴者の心を掴んで離さないのが、見た目はモフモフ、中身はこじらせ気味の中年男性というギャップが眩しい「トラ」。
さらに、作品世界の謎に深く関わっていそうなマスコット的存在「てぷちゃん」、そして一度見たら忘れられないクセの強さを放つ「ぷんたん」。
彼らは単なる“可愛いマスコット”や“賑やかし要員”ではなく、物語のテーマを浮き彫りにするための、よく練られたピースたちです。
本記事では、アニメ脚本の構造分析やキャラクター造形の専門知識をもとに、
・トラの性格や物語上の役割、そして声優が演技でどう「おじさんらしさ」を表現しているのか
・てぷちゃんに隠された“正体”と、視聴者を惹きつける演出の仕掛け
・ぷんたんの“うざ可愛さ”がなぜクセになるのか、そのキャラ設計の妙
まで、ネタバレを避けつつも初見・ファンどちらも楽しめる目線で丁寧に解説していきます。
キャラクターのセリフは、時に僕らの人生の教科書になる。
『猫に転生したおじさん』に登場するトラ、てぷちゃん、ぷんたんたちは、きっとあなたの「明日を少しだけ軽くするヒント」をくれるはずです。
さあ、一緒にこの“モフモフで深い”世界の扉を開いていきましょう。
――執筆:神崎 悠真(アニメ批評家/脚本研究家)
トラはどんなキャラ?性格・役割・声優まとめ
『猫に転生したおじさん』の主人公とも言える「トラ」は、ぱっと見はただの猫。だけど、中身は
元おじさんという異色の存在です。
ちなみに、公式サイトでは
「おじさん(ねこ)」&「プンちゃん」という表記になっていますが、この記事では読者さんと話しやすいように、
まとめて「トラ」と呼んでいきます。
僕自身、放送初回から追いかけているんですが、最初の数分で「この作品、ただのギャグ猫アニメじゃないぞ」と確信しました。
仕事に疲れた中年の本音、社会への愚痴、だけど猫として撫でられたときに思わずこぼれる「やっぱり悪くないな…」という表情。
その全部が、笑えるのにグサッとくるんです。
特に印象的なのは、
人間だった頃のクセや価値観が、猫の行動ににじみ出ちゃう瞬間。
会社員時代のクセでつい「会議モード」になったり、つらいときほど冗談でごまかそうとしたり…。
そういう“おじさんのリアル”を、丸いフォルムの猫がやってくれるからこそ、視聴者としては余計に感情移入しちゃうんですよね。
ここではそんなトラの基本プロフィール、性格、物語上の役割、そしてアニメ版で命を吹き込んでいる声優さんまで、
僕自身が視聴しながら「ここがたまらない!」と感じたポイントを、全力で深掘りしていきます。
トラの基本プロフィールと設定
トラは、ある日突然の交通事故がきっかけで、
猫へと転生してしまった中年男性。
公式イントロダクションでも、
「ごく普通のサラリーマンだったのに、ねこに転生してしまったおじさん」と紹介されています。
外見はもふもふとした三毛猫寄りの柄で、目元の鋭さや、ちょっと崩れた表情に「中身は完全に人間」の名残がある。
僕が最初にグッときたのは、ふとした瞬間に見せる「人間だった頃の疲れた目」です。
なでられてとろ〜んとしているのに、ふとした拍子にサラリーマン特有の「明日、会議か…」みたいな影がよぎる。
その一瞬のギャップが、もうたまらない。
そして、飼い主ポジションとなるキャラ(この記事では仮に「ミカ」と呼びます)との関係性がまた最高で、
日々ツッコミとぼやきを繰り返しながらも、結局ミカを全力で守ろうとする姿が、完全に「おじさんの優しさ」なんですよね。
ソファの陰から見守るカット一つとっても、「あ、このおじさん、昔もこうやって誰かを支えてたんだろうな」と想像させてくれます。
トラの性格はおじさんそのもの!?
トラの最大の魅力は、やっぱり中身が完全に中年サラリーマンであること。
ただの“おじさんキャラ”じゃなくて、残業、上司、飲み会、健康診断…現代社会をくぐり抜けてきたリアルな疲れとユーモアが詰まっています。
視聴していて何度もニヤッとするのが、
猫としての本能的な行動と、人間としての理性・ツッコミが同時に走っているシーン。
たとえば、ごはんを前にすると理性が飛んで猫らしくむしゃぶりつきながら、心の中では
「いや、カロリー…いやでもこれはゼロカロリー…いや違うな…」みたいに葛藤している感じが伝わってくるんです。
こういう“二重構造のリアクション”って、アニメ脚本的にもかなりおいしいポイントで、
視聴者の僕らが「わかる〜!」と全力で乗っかれる余白がしっかり用意されている。
また、ミカや周囲の若いキャラたちの価値観に対して、トラが
「令和ってそういう時代なの?」「オレの時代はさあ…」と、つい説教モードに入りかけるのもおじさんあるある。
でも最終的には、若い世代の選択を尊重する側にちゃんと回るあたりが、この作品の優しさだと僕は思っています。
アニメ版での役割とストーリー上の立ち位置
トラは、物語全体の語り手的ポジションでありながら、同時にあらゆる事件やトラブルのど真ん中にいるキャラクターです。
彼の目線で世界を見ることで、
人間社会とペット、その間にあるギャップと温かさがものすごくクリアに立ち上がってくる。
僕がとくに好きなのは、
「猫としては最高に幸せだけど、人間だった頃の自分を完全には捨て切れていない」揺らぎを見せるエピソードです。
会社員だった頃の同僚を街で見かけてしまったり、TVのニュースで自分のいた業界が取り上げられたり…。
そのたびに、トラは「いまの自分の幸せ」と「もしあのまま人間で生きていたら」を比べてしまう。
その揺れがあるからこそ、視聴者も「もし自分が猫になったら、どう生きたい?」と自然に考えさせられるんですよね。
そして、この作品のすごいところは、説教臭くならないギリギリのラインで“生き方のヒント”を投げてくるところ。
トラのぼやきやツッコミはどれも笑えるんですが、ふとした一言が妙に刺さる。
たとえば、ミカが落ち込んでいるときにそっと寄り添いながら、
「がんばれって言えないけど、休むのは全肯定したい」と言わんばかりの態度を取るシーンなんて、
見ているこっちが救われるんです。
トラの声優は誰?演技の魅力にも注目!
トラ(=ねこになったおじさん)に声を吹き込んでいるのは、亀岡孝洋さんです。
公式キャスト情報でも、
「おじさん:亀岡孝洋」と明記されています。
僕が最初に感じたのは、「地味さ」と「愛おしさ」のバランスが絶妙だということ。
派手に叫んだり、ギャグに振り切った声ではなく、
「どこにでもいそうな、ちょっと疲れたサラリーマン」の温度感を保ちながら、猫としての可愛さもちゃんと乗せてくる。
そのおかげで、トラの「リアルなおじさん感」が一気に説得力を持つんです。
さらに面白いのが、
シーンによって“人間寄り”と“猫寄り”の声色を微妙に揺らしているところ。
ミカや周囲のキャラにツッコむときは、人間だった頃のテンポとツヤが残っているのに、
ごはんや玩具の前では一瞬だけ“ただの猫”みたいな無邪気さが出る。
この微妙な切り替えは、現場でかなり意識して演じているんだろうなと、同業のインタビューを読んでいても感じます。
そして、トラの世界をさらに厚くしているのが、糸柳先生役の津田健次郎さんの存在。
渋い声でありながら、ねこたちを見守るときだけ少しだけ柔らかくなる。そのコントラストが、
トラの“おじさんとしての過去”と“不思議な今”を包み込むように支えてくれています。
公式の特別企画動画やインタビューでも、津田さん自身が「かわいい×渋い」のギャップを楽しんでいるのが伝わってきます。
声優陣のこうした“さじ加減”があるからこそ、トラはただの「猫キャラ」ではなく、人生を背負ったひとりの人間として視聴者の心に残る。
これはアニメを長年見てきた僕からしても、かなり贅沢で、丁寧なキャラクター表現だと言い切れます。
てぷちゃんの正体は?その本名と謎を考察
『猫に転生したおじさん』の中でも、
「てぷちゃん」は一際異彩を放つキャラクターです。
初めて画面に出てきたとき、僕は思わず一時停止しました。「誰だこの丸くてやたら存在感ある子は…!?」って。
小さくてふわふわ、見た目は完全に“ぬいぐるみ枠”なのに、動きや間の取り方が妙に人間くさい。
公式サイトのキャラ紹介でも
「社長のマンションの隣の部屋で飼われているねこ」と説明されていて、
ぽっちゃりボディとウィスパーボイスがチャームポイントとされています。
この記事では、ファンとして・アニメ批評家として両方の目線から、
てぷちゃんの「何者感」/作中での立ち位置/名前にまつわる考察をがっつり掘っていきます。
「なんか気になるんだけど正体がつかめない…」と思っている人に向けて、僕なりの解像度を共有していきますね。
てぷちゃんって何者?猫?幻獣?
まず、いち視聴者として最初に突き刺さるのがこの疑問ですよね。
「てぷちゃんって、本当にただの猫なの?」問題。
公式設定上はあくまで「隣の部屋で飼われているねこ」なんですが、
実際の描写を見ていると、
明らかに“普通の猫”より一歩踏み込んだ存在感を持っています。
ベランダづたいにプンちゃんのところへ遊びに来るときの、
あの「来たよ〜」と言わんばかりの間合いの取り方が、もう完全にご近所さん。
空気を読むタイミングが良すぎて、「こいつ…わかってやってるな?」と感じる瞬間が多いんですよ。
僕自身、アニメを見ていて何度も「今の入り方、コメディリリーフというより
“物語のスイッチを押すトリガー”として配置されてるな」と感じました。
なので現時点での僕の結論は、
“設定上は普通の猫、でも物語構造上はほぼマスコット兼キーパーソン扱いのキャラ”というポジションです。
作中で語られるてぷちゃんの「正体」らしきヒント
現状、公式がはっきり「てぷちゃんの正体は◯◯です」と明言しているわけではありません。
その代わり、セリフまわしやカット割りでそれとなく匂わせてくるタイプのキャラなんですよね。
たとえばトラ(おじさんねこ)がひとりで悩んでいる場面。
誰もいないはずの部屋に、いつの間にかてぷちゃんがいて、
「わざわざここで来る?」という絶妙なタイミングで視線を送ってくる。
その瞬間って、画面の情報量としてはただの「猫がいるカット」なんですが、
何度も見返すと、
“トラの心が一番弱くなるポイントで出てきている案内人”にも見えてくるんです。
もちろん、公式サイトの説明には「案内人」なんて一言も書いてありません。
でも、キャラクター紹介で、
てぷちゃんの飼い主・糸柳先生と社長が「ねこをきっかけに知り合う」とあるように、
てぷちゃんはキャラ同士をつなぐハブとして機能しているのは間違いない。
だから視聴者の間で「転生世界側の存在なんじゃ?」「何かルール知ってそう」といった考察が出てくるのも納得なんです。
てぷちゃんの本名に隠された意味
ここが一番モヤモヤしていて、一番ワクワクするポイントかもしれません。
現時点で、
公式には“てぷちゃん”以外の本名は明かされていません。
公式サイトや各種資料を見ても、「てぷちゃん(CV. 大橋彩香)」表記で統一されています。
とはいえ、ファンとしてはそこで終わらせたくない。
僕のタイムラインやイベントでのファン同士の会話でも、
「“てぷ”って何の略だと思う?」という話題は本当によく出ます。
個人的に面白いと思っているのは、「てぷ=テレパシー系のイメージ」説と、
「てぷ=転生プログラム(仮)」の略っぽい響き説。
どちらも公式が言っているわけではないですが、
・トラの気持ちを先回りしたような視線やタイミング
・転生というテーマにど真ん中で絡んでくる立ち位置
を考えると、名前に“目に見えない何か”のニュアンスが含まれていてもおかしくないな、と。
今後、原作やアニメの後半で本名に関するエピソードが出てきたら、
物語世界のルールや転生の仕組みが一段階深く見えてくるタイプの仕掛けになるはず。
そういう“名前が明かされた瞬間に世界の見え方が変わるキャラ”として、
てぷちゃんは今からしっかりポジションを築いている、と僕は見ています。
てぷちゃんが持つ不思議な「能力」とは?
てぷちゃんは、その愛らしいフォルムに似合わないレベルで、物語を動かす力を持っています。
ここで言う「能力」は、超能力的なものというより、
「この子が動くと必ず何かが起こる」という、ストーリーテラーとしての力ですね。
- トラの内面をえぐるようなタイミングで寄ってくる
トラが「会社員だった頃」を思い出して沈んでいるときに限って、
てぷちゃんがスッと近づいてくることが多い。
これは完全に演出側の意図なんですが、視聴者としては
「お前、絶対わかって来てるだろ…!」と言いたくなるやつです。 - 物語の空気を一瞬で変える“瞬間移動的”な登場
カメラが切り替わった瞬間、当たり前のようにそこにいるてぷちゃん。
物理法則どうこうよりも、「しんみりした空気をやわらげるために急に現れる」
コメディリズムとしての“瞬間移動”が多用されています。 - 関係性を一気に進める“場の空気操作”
社長と糸柳先生の距離が縮まるきっかけにも、だいたいてぷちゃんが絡んでいる。
これはもう、時間や空間を操るというより、
人間関係そのものを動かすスイッチの役割を持ったキャラだと考えていいと思います。
そして、この“声”の部分で大きな鍵を握っているのが、声優・大橋彩香さんです。
てぷちゃん役としての出演は、
大橋彩香さん公式サイトのコラボ情報でもしっかり紹介されていて、
あのウィスパーボイスが、キャラの「ふわっとした不思議さ」と「距離の近さ」を同時に作り出しています。
ふわふわした見た目とは裏腹に、
作品全体の空気と人間関係を静かに動かしている“キーパーソン”。
それが僕の考える、今の時点でのてぷちゃん像です。
ここから先、原作&アニメでどこまで「正体」に踏み込んでくるのか――
てぷちゃんが本気を出す瞬間を、ワクワクしながら待ちたいですね。
『猫に転生したおじさん』の魅力的なキャラ紹介
『猫に転生したおじさん』は、ただの「おじさん転生ギャグ」だと思って見ると、いい意味でひっくり返されます。
実際に全話追いかけてみて感じたのは、
キャラクター一人ひとりの個性と関係性で引っ張るタイプの作品だということ。
公式サイトのキャラクター紹介でも、
トラ(おじさん)、プンちゃん、てぷちゃん、社長、糸柳先生
など、メインどころがしっかり掘り下げられていて、「キャラで見せる」姿勢がはっきり出ています。
この記事では、その中でも特に物語の中心を担う「トラ」「てぷちゃん」「ぷんたん」の三人(匹?)にフォーカス。
僕自身が何度も見返しながら「ここ、たまらん…!」と感じた
具体的なシーンやセリフを交えつつ、三者三様の魅力を語っていきます。
トラの“おじさん魂”が光るシーンとは
中年サラリーマンとしての記憶を持ったまま、社長の飼い猫として生きることになったトラ。
公式のイントロダクションでも
「ごく普通のサラリーマンだったのに、ある日突然ねこに転生してしまったおじさん」
と紹介されていますが、アニメを見ていると“普通”の中にあるリアルなおじさん魂がじわじわ効いてきます。
僕が特に好きなのは、SNSや最新ガジェットの話題が出たときのトラの反応。
若いキャラたちが「このフィルター盛れる〜!」とはしゃぐ横で、トラだけが
「フィルターって…前の上司も会議資料だけ盛ってたな…」みたいなテンションになるんですよ。
この、笑いながらも「わかる…」と頭を抱えたくなる感じ。
視聴者の僕らの実体験とシンクロする“おじさん視点のツッコミ”が、ただのギャグでは終わらせない深みになっています。
しかもトラは、文句を言いながらも最後はちゃんと相手に寄り添うんですよね。
ミカ(社長の娘ポジション)の悩みを聞くときも、「説教モード」に入りかけて踏みとどまり、
「まあ…失敗しても死にはしないしな」と、ちょっと肩の力が抜ける一言を添えてくれる。
シュールさと人間味のバランスが絶妙で、僕はここに一番「この作品、大人向けだな」と感じています。
てぷちゃんの癒し系でシュールな魅力
てぷちゃんは、一言で言うと
「見た目100%ゆるキャラ、中身ちょっと達観してる生き物」です。
公式でも
ぽってりボディのねこキャラ
として紹介されていますが、アニメ本編での立ち位置は“癒し担当”だけに収まりません。
たとえば、トラが会社員時代を思い出して落ち込んでいるシーン。
何も言わずに隣に座ったかと思えば、「寝たらだいたい解決するてぷ」みたいな、
すごくゆるい一言を投げてくるんですよ。
これが不思議で、全然ロジカルじゃないのに、なぜか刺さる。
可愛いのに言っていることが妙に大人びているギャップが、てぷちゃん最大の中毒ポイントだと思っています。
しかも声を担当しているのが、大橋彩香さん。
コラボ情報でも
「TVアニメでは大橋彩香がてぷちゃん役で出演中!」としっかり明記されている通り、
あのウィスパー気味の声が、てぷちゃんの「ふわふわなのに核心を突いてくる感じ」を完璧に支えています。
僕は正直、声を聴いた瞬間に「これはハマり役すぎる…」とニヤけました。
ぷんたんの元気で天然なキャラ性に注目!
ぷんたんは、この作品の中でいちばん“エネルギーが暴れ回っている”キャラです。
公式キャストでも
「プンちゃん:花澤香菜」
と紹介されていて、もうこの時点で勝ち確の予感しかしませんよね。
ピンク系の毛並み+まんまるな瞳というビジュアルに、花澤さんのあの独特のテンションが乗ると、
ただそこにいるだけで画面が一気に明るくなる。
トラがシニカルなツッコミを入れても、ぷんたんは全く悪びれず、
「え〜でも楽しいからいいじゃん!」と全力ポジティブで押し切るタイプ。
無邪気で突拍子もない言動が多いので、物語の流れをガラッと変える「台風の目」的役割も担っています。
てぷちゃんに対して、妙なライバル心を燃やすのも可愛いポイント。
「どっちがもっと撫でられるか勝負!」みたいな、しょうもない争いを全力でやるんですが、
そのおかげでトラが巻き込まれて、結果的にみんながちょっとだけ仲良くなる。
本人は何も考えてないのに、場を動かすスイッチになってしまう“マスコット界の自由人”と言っていい存在です。
三者三様の関係性が織りなすストーリーの面白さ
僕が『猫に転生したおじさん』を人にすすめるとき、いつも強調するのがここです。
「トラ」「てぷちゃん」「ぷんたん」の関係性が生み出す会話劇のテンポが、本当に気持ちいいんです。
ツッコミ担当のトラ、マイペース癒しのてぷちゃん、元気全開のぷんたん。
この三角形が回り始めた瞬間、画面の情報量とテンポが一気に加速する。
しかもただ騒がしいだけじゃなくて、エピソードを追うごとに、
トラの会社員時代や、てぷちゃん・ぷんたんの背景に薄く触れていく構成になっているんですよね。
たとえばトラの過去の失敗談が明かされる回では、
ぷんたんが場を盛り上げ、てぷちゃんがさりげなくフォローを入れ、
最終的にトラ自身がちょっとだけ前向きになって終わる。
こういう「笑って終わるけど、心のどこかが少し軽くなる」回が多いのも、この3キャラだからこそ出来る空気感です。
もしまだ本編を観ていないなら、まずは
フジテレビ公式YouTubeにある第1話の見逃し配信
から入るのがおすすめ。
たった90秒前後のショートアニメなのに、「あ、この3匹(+社長たち)の関係性、もっと追いかけたい!」
と思わせてくるはずです。僕もそこから完全にハマりました。
映画、TV番組、ライブTV、スポーツを観る【Amazon Prime Video】
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猫に転生したおじさんのキャラたちの魅力まとめ
『猫に転生したおじさん』、略して“ねこおじ”。
僕も最初は「転生×猫×おじさんって情報量多すぎない!?」と半分ネタのつもりで
公式サイトを開いたんですが……。
実際に追いかけてみると、
転生×猫×おじさんという変わり種設定を、本気でキャラクタードラマに落とし込んだ作品だとわかります。
毎話90秒前後という超ショート尺なのに、
「今の一言でそこまで心を揺らしてくる?」と驚く瞬間が何度もあるんですよね。
その理由はやっぱり、
キャラごとの“人格”と“関係性”が丁寧に作り込まれているからです。
まず主人公ポジションのトラ。
社長の家で暮らすツッコミ担当の猫でありながら、中身はごく普通のサラリーマン。
公式のイントロダクションでも
「普通のサラリーマンだったおじさんが、ある日突然ねこに転生してしまう物語」
とある通り、
“猫として生き直す中年男性のリアルな戸惑いと、ちょっとした救い”がトラを通して描かれます。
SNS・リモートワーク・推し活など、現代のカルチャーにモヤモヤしながらも、
最後はどこか肯定してくれる優しさが、大人の視聴者に刺さるんですよ。
一方でてぷちゃんは、ビジュアルだけ見れば完全に“ゆるふわマスコット枠”。
ところが本編では、トラの心が一番揺れているタイミングでふっと現れて、
「寝たらだいたい解決するてぷ」なんて、妙に達観した一言を落としていく。
公式キャスト情報でも
「てぷちゃん:大橋彩香」としっかりクレジットされていて、
大橋さんのウィスパー気味の声が、
“ふわふわしてるのに核心を突いてくる不思議キャラ”としての存在感を決定づけています。
そしてぷんたん(プンちゃん)。この子がいるだけで、画面の色温度が一段階上がる。
公式ニュースやキャスト発表では
「おじさんが転生した猫・プンちゃん役は花澤香菜」と紹介されていますが、
まさにその通りで、
ピンクの毛並み+花澤さんのテンション高めボイスという組み合わせが反則級。
無邪気で突拍子もない行動でトラやてぷちゃんを振り回しながら、
結果的に場を丸く収めてしまう“台風の目”のようなキャラです。
3匹とも立ち位置が違うのに、同じフレームに収まった瞬間に空気が一気に動き出す。
それが『猫に転生したおじさん』という作品のいちばんの中毒ポイントだと、僕は感じています。
キャラの魅力が生み出す「笑えて・癒されて・ちょっと泣ける」感覚
実際に全話を何周も見ていると、ただのギャグアニメではないことがよくわかります。
たとえば、トラが会社員時代の失敗を思い出して落ち込む回。
ぷんたんが空気を読まずにハイテンションで突っ込み、てぷちゃんが横でのんびりとフォローを入れる――
結果的にトラが「まぁ、今こうして生きてるだけで上等か」と少しだけ前を向く。
見ているこっちも、
「自分の失敗も、もしかしたら笑い話にしていいのかも」と肩の力が抜けていきます。
こんなふうに、トラ=悩みとボヤキの代弁者、てぷちゃん=答えではなく“余白”をくれる存在、
ぷんたん=場をひっくり返してくれるポジティブエネルギーとして機能しているからこそ、
短い話数の中でも物語に厚みが生まれているんですよね。
しかも、アニメはフジテレビ系列「ぽかぽか」内での放送だけでなく、
フジテレビアニメ公式YouTubeチャンネルの見逃し配信や、
FOD・TVerなど各種プラットフォームでも視聴が可能です(詳細は
放送・配信情報ページを参照)。
「仕事帰りにサクッと1話だけ」「通勤電車で3話まとめ見」みたいな楽しみ方ができるのも、この作品の強みですね。
日常にちょっと疲れたとき、スマホを開いて“ねこおじ”の再生ボタンを押す。
それだけで、トラたちが「まあまあ、今日はここまででいいんじゃない?」と
隣に座ってくれるような感覚がある。
そんなふうに視聴者の生活リズムに溶け込んでくるキャラクターたちだと、自信を持って言えます。
『猫に転生したおじさん』よくある質問 ──神崎 悠真が友人に答える感じでまとめてみた
Q. どこで観るのが一番ラク?
まずは王道で、公式サイトから「放送・配信情報」をチェックするのが安心です。
地上波だとフジテレビ系列「ぽかぽか」内で放送、配信なら
フジテレビアニメ公式YouTube第1話が一番入りやすい入口。
1話90秒前後なので、「とりあえず1本だけ」と思って再生したら、そのまま5話くらい見ちゃうパターンが多いです(笑)。
Q. ショートアニメって物足りなくない?
これ、めちゃくちゃ聞かれます。正直に言うと、「物足りない」というより「もう1本!」ってなるタイプです。
フジテレビのニュースリリースでも、
「1話約90秒でサクッと観られるショートアニメ」と紹介されているんですが、
その短さを逆手に取って、1カット1セリフに情報と感情をぎゅっと詰め込んでいる印象があります。
個人的には、1話が長いアニメより「繰り返し見返しやすい」のが大きなメリットですね。
Q. 子どもと一緒に観ても大丈夫?
基本的には、家族で安心して観られるタイプの作品です。
ねこたちの見た目は完全に“ゆるかわ”路線ですし、暴力表現や過激なシーンもありません。
ただし中身がおじさんなので(笑)、働く大人のグチや人生観がチラッと覗く場面はあります。
子どもには「猫がなんか難しいこと言ってるね〜」くらいで、大人は「わかる…」と心に刺さる二段構えになっている感じです。
Q. 原作マンガとアニメ、どっちから入るべき?
原作は「次にくるマンガ大賞2023 WEBマンガ部門2位」を獲得したSNS発の人気作で、
詳細はフジテレビの特集ページ
「ねこに転生したおじさん ニュース」でも触れられています。
個人的なおすすめ順は、①アニメ第1話を無料で観る → ②気に入ったら原作1巻を手に取るの流れ。
アニメで声とテンポに慣れてから原作を読むと、トラやぷんたんのセリフが脳内再生されてさらに楽しいです。
Q. 推しキャラが決まらない…どうすれば?
これはもう、全員を推していい作品だと割り切るのが正解だと思っています。
僕自身、最初はトラ推しだったのに、てぷちゃんの“達観かわいい発言”にやられ、
さらにぷんたんの暴れっぷりに元気をもらい……気づけば箱推し状態です。
グッズやコラボもどんどん増えていて、
「大橋彩香×ねこに転生したおじさん」コラボのように声優さん側からの愛も感じられるので、
「今日はこの子!」くらいのライトな気持ちで推しを回遊するのもアリですよ。
Q. どんな人におすすめ?
・仕事や学校でちょっとお疲れ気味の人
・猫動画で癒されつつ、もう一歩踏み込んだ「物語」も味わいたい人
・花澤香菜さん、大橋彩香さん、津田健次郎さんなど、キャスト陣のファンの人
このあたりにひとつでも当てはまるなら、まず第1話を観てみてください。
正直、1分ちょっとで“世界観とキャラの強さ”まで伝えてくるアニメってそう多くありません。
Q. 神崎さん自身は、この作品から何をもらいましたか?
いちアニメ批評家としては、「短尺でもここまでキャラで勝負できるんだ」という希望。
いち視聴者としては、「今日ちょっとしんどかったけど、まあ生きてりゃなんとかなるか」と思わせてくれる小さな灯り。
トラのぼやきも、てぷちゃんの一言も、ぷんたんの全力ポジティブも、ぜんぶ含めて、
僕の日常にそっと寄り添ってくれる“常備薬”みたいな作品だと感じています。
――執筆・回答:神崎 悠真(アニメ批評家/脚本研究家)













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